スタジアムプロジェクト欧州視察2010報告書
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Ⅴ-3.セルティックa Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 69 (3)ジュニア・メンバーズ スタジアムの各所に、掲示して募集していたのが、「ヤング・フープス・クラブ」。0~3歳と4~14歳のふたつのカテゴリーがあり、どちらも年会費は£15(2,100円)。0歳からの会員になると、ナイロンバッグに哺乳瓶、お風呂に浮かべるゴム製アヒル(もちろん緑色)、ふわふわサッカーボール、メンバーズカード、£5 (700円)の商品券、選手のサインカードがもらえる上、ホームゲームのマスコットになるチャンスが与えられる。セルティックでは、試合のない日にスタジアムのラウンジで、子供向けのハロウィンやクリスマスのパーティを開催している。 5.所感 過去、トラブルが絶えなかったオールド・ファームは、周辺道路を含めた動線規制を行うなど、スタジアムの内外での安全管理に徹底していた。特にアウェイ・ゲート周辺を完全に目隠しして対応する工夫も見られた。 周辺道路の歩道は、帰路は人があふれて車道を歩かざるをえなかった。スタジアムのバックスタンドの裏手、ほんの700m離れたところに、3.7万㎡の巨大なシネマ・ショッピングセンターがあるものの、そこへの道路も閉鎖されていた。1試合で£300万(4.2億円)もの収入をクラブにもたらすビッグゲームは、ハイリスクマッチでもあり、6万人近い集客を経済効果に生かすこともままならない様子。118年の歴史を持つ市内有数の大規模スタジアムは、安全を確保するのに精一杯という感じであった。 118年前の司祭に、スタジアムは「ハコ」だけでなく、周辺道路、アクセス環境を含めてスタジアム環境を整備する必要がある、と説くには手遅れだった。

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