Ⅴ-1.レンジャーズ Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 50 そこから、ツアーは【メインスタンドの役員席】に出る。「そこはクラブの会長の席、その隣は俳優ショーン・コネリーが来たときに座った席」とガイドが説明すると、みんなのカメラがシャッター音を鳴らす。低く、まっすぐな屋根で囲われたスタンドは、すべて2層。椅子はすべて跳ね上げ式。ピッチでは、人工日照(Mobile Lighting Rig)が稼働している。3機で1カ所2時間。7~8日間かけてピッチ全面をカバーする。 本革のソファでゆったりとした【メンバーズクラブのラウンジ】(169人収容、年間チケット料金は£3,800(53.2万円))を通り、【トロフィールーム】へ。ペナントや銀製品など対戦クラブから贈られた記念品と獲得したカップ等のディスプレイにため息をついていると「この他に、あと8倍のカップや記念品がある」と説明される。獲得したタイトル数では、世界最多といわれるレンジャーズだけに、疑う気も起らない。 ウッドパネルの廊下にも歴代選手の記念の品が数多く飾られている。中には、創設当時のシーズンチケット・カバーもある。階段の踊り場には肖像画が飾られ、その下の木枠は豪華客船クイーン・メリー号に使用される木材によるものと解説される。【チーム更衣室】に通されると、は選手が使う時と同様にユニフォームが吊るされ、ホーム側には笑顔のエリザベス女王の写真が飾られている。アゥエィ用更衣室は、ホームに比べて広さは半分。微笑む女王の写真もない。ユニフォームの隣のフックは、その昔、帽子掛けに使われていたものをそのまま残している。 ツアーの最後は、選手入場の音楽とともに、トンネルから【ピッチ】に出て、スタンドを見上げて選手気分に浸る。ピッチの排水機能は1時間あたり250ガロン(1,140リットル)、凍結防止のアンダーヒーティングのケーブルは30~40kmの長さになるという。建物の内部が通路も含めてクラシックな暗い雰囲気を漂わせているため、ピッチの光が一層眩しく感じる。
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