スタジアムプロジェクト欧州視察2010報告書
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Ⅳ‐1.ウエスト・ブロムウィッチ・アルビオン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 47 7. 所感 創設130年以上という歴史・伝統があるクラブであり、ホームスタジアムとなって今年100年を迎える「The Hawthorns」。 通常サッカークラブは、来場してくれるファン・サポーターを中心に力を尽くして良い商品(試合・その他活動)を創りあげるが、WBAは、「(貧しい)地域の希望の星である」との認識を大前提として活動していた。 つまり「サッカー嫌いの地域住民のためにも」という意識・視点もあるがゆえ、地域住民に還元するために敢えてスタジアム周辺の土地を購入し、試合日以外のプログラム提供、サッカー嫌いの人への配慮等にも力を入れている。 このWBAというクラブを通して見えてきたことは、「(ファン獲得等の)あらゆる手法・手段も当然必要だが、地域への希望与える存在になる、という視点から全てを検討することはさらに重要」ということ。 このコンセプトがあるからこそ、「クラブ、スタジアムの場所は変えず、この場所に居続けなくてはならない」という強烈なメッセージを感じた。また、この意識こそが「WBAのエンジン」であるとも思う。 日本においても「ホームタウン」、「地域住民のために」と標榜しているが、将来的に、ヨーロッパ型のクラブに近づき、超えるためには、「地域住民の生活、想い、すべてを背負う存在としての希望の星」という意識を持つことから始まるのかもしれないと感じた。

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