Ⅳ‐1.ウエスト・ブロムウィッチ・アルビオン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 42 (4)自治体からのサポート クラブ保有のスタジアムだけに、地元行政からの特別な税の優遇などは一切ない。イングランドのサッカークラブでも、地元行政から見ると、パン屋と同じような感覚で一商店、一企業として扱われる。ただ、クラブがスタジアムのオーナーである一番のメリットは、スタジアムを完全にコントロールする権利があるということで、クオリティ面も含め完全にコントロールできる。 (5)スタジアムメンテナンス スタジアムだけでなく練習場にも共通しているのは、規模の小さいメンテナンスであれば、メンテナンスマネージャーと各部署の担当者が行い、規模が大きいメンテナンスになると、外部の協力企業をコントロールしながら行う。 また、メンテナンスを行う際は以下の三つの視点を意識して行っている。 《メンテナンスの視点》 ①サポーター視点 クラブの歴史を身近に感じることができる雰囲気を作ること。 ②サポーター以外のビジネスマン視点 クラブカラーやサッカーだけでなく、食事、飲み物、インテリアにも気を配って、高級志向の客層にも失礼のないよう対応していること。 ③試合日以外の施設利用するクライアント視点 中にはチームに興味がない方もいるため、中立的立場の方々にも違和感なく使ってもらうことを意識し、色使いを考えている。 3. 【The Hawthorns】 競技・運営用設備 (1)ピッチ ①サイズ 105メートル×68メートル。UEFA基準の、いわゆる標準通りのピッチ。 ②芝生 芝自体は天然芝にファイバーグラス(Desso社グラスマスター)を混ぜており、多少人工芝が入ったピッチになっている。 ③芝生のメンテナンス 2年サイクルで剥がし、新しい芝を植えて根付かせるということを繰り返している。新しい芝を植えた1年後には、芝上部を10ミリカットするなど定期的なメンテナンスを行っている。 ④水はけについて イギリスの秋冬は雨が多いので、水はけのよさには気を配っている。芝を根付かせるために人工的に撒いているサンド部分も2年のサイクルで入れ替えて、水がたまらないように気を使っている。 ⑤日照対策 イギリスは日当たりもあまり良くないため、芝に光を当てる人工の照明を2台購入している。日照時間が短く、気温が低い冬の間、特に芝がはげやすいゴール前のエリアに、試合後や試合のないときにこの人工照明を活用し、芝の成長を助けている。 ⑥芝管理スタッフ(グラウンドキーパー) クラブスタッフとして、フルタイムのグラウンドキーパーが2名いる。日々のメンテナンスだけではなく、害虫、病気の駆除に役立つ薬品散布なども行ってファイバーグラスが混ざったピッチ 光を取り入れるため、屋根は透明
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