スタジアムプロジェクト欧州視察2010報告書
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Ⅳ‐1.ウエスト・ブロムウィッチ・アルビオン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 41 彼が6割くらいの株を保有している。 ②クラブ経営の特徴 プレミアリーグは今、かなりの巨額の赤字を抱えており、運営規模も大きいがその代わり赤字も大きいというクラブが多い。しかし、このクラブは当初から割りと堅実な採算を目指して運営しているので、経営に影響を及ぼすような大きな赤字は抱えていない。この点においては、プレミアリーグの中で特徴的なクラブだ。 また、堅実な資金の使い方について、時にはサポーターから補強が消極的だという非難もあったが、現在は周りの1部、2部リーグのクラブで経営破たんするケースが増えているので、今になってサポーターからも、このクラブの経営が正しかったと気づいてもらっている。 2. The Hawthornsについて (1)スタジアム創設 スタジアムは「The Hawthorns(ザ・ホーソンズ)」という名前で、ホームスタジアムとなってからはちょうど110年。 ホームゲームの際はシーズンチケット、年間指定席を持っているファンは約19,000人。 (2)収容人数(キャパシティ) 現在、このスタジアムの収容人数は、上限が26,500人。サポーターの入り具合を考えても26,500人のキャパシティでビジネス的にはうまくいっているという判断だが、この後、プレミアリーグに定着して順位も上がり、サポーターも増えていくことがあれば、西側のスタンドを建て増してキャパシティを上げていくことになる。 (3)箱型のスタンド 4つのスタンドが別々の作りになっており、最初からスタジアムとして全部作り上げてきたわけではなく、それぞれのスタンドが別々の段階で改修工事などを行い、現在の形になっている。改修を行う際はスタンドごとに改修できるようになっている。 ①メインスタンド メインスタンドが最も新しく、2001年に工事が完了した。コーポレート用の各種セミナー等に使ってもらえるマルチファンクションスペースがあり、試合日以外も、地元の方の結婚披露宴やパーティーなどにも活用されており、多目的なスタンドになっている。 ②ウェストスタンド 4つのスタンドのうち、一番古いのが西側で、このスタンドが出来上がったのは1979年~1980年。グラウンドレベルは試合日に観客が入るのでコンコースが席の裏手にある。 2階部分が、選手控室、3階部分がメディア用のテレビ解説ブースやゲスト用ブース。 これまで、何年もキャパシティを上げるために「建て増したほうがいいのでは」という議論が何度もあったが検証と議論を重ねた結果、現時点ではサポーターの規模、試合の観客の入り具合からみても、建て増す必要がないという結論に落ち着き、今では26,500人を維持している。 試合当日はファンで埋め尽くされるスタンド (左)ウェストスタンド (右)メインスタンド

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