スタジアムプロジェクト欧州視察2010報告書
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Ⅲ‐3.ザンクトガレン Jリーグスタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 37 での飲食を楽しむことができる。 ⑨アレナカードの利用 場内の飲食、物販については、現金は一切不可としており、プリペイド式の「アレナカード」で電子決済している。 上記のカード販売員40~80名がコンコース内でカードにCHF 30~300(2,550~25,500円)をチャージする。観客はチャージ代金を支払い、物販・飲食はワンタッチ式の電子決済で清潔かつスピーディである。(発行料は無料) ただし、モールでは現在のところ使用できない。 ⑩機械化による効率化や顧客満足度向上 スタジアムの157所にテレビモニターを設け、ゲーム実況や他スタジアム情報、その他情報をこまめに提供し、コンコースやラウンジ・ボックスにいながら楽しめるようにしている。また、入口はターンスタイル・ゲートで正確かつ個人来場データーも把握可能となっており、個人の入場規制も実施できる。 (3)AFGアレナAGの損益状況 FC St.Gallenの損益でもあるように施設運営管理会社であるAFGアレナAGが興行を主催し、その収入の中からクラブへ分配金を供出している興味深い例である。 【営業収入】 CHF (百万円) サッカー興行収入 985万 (837) 広告収入 650万 (553) スカイボックス 220万 (187) その他収入 188万 (160) 計 2,043万 (1,737) 【営業費用】 CHF (百万円) FCザンクトガレンへ分配金 610万 (518) 警備費 262万 (223) 公共交通機関等直接費 494万 (420) スタッフ人件費 233万 (198) スタジアム賃借料 132万 (112) その他運営費 241万 (205) 減価償却費 71万 ( 60) 利益金 0.1万 (0.09) 計 2,043万 (1,737) 3. AFGアレナについての所感 ①周辺地域からの協力金について 新スタジアム建設費調達に周辺地域からも協力金が募られたことは、ザンクトガレン市民だけでなく、州全域から支持を得られている証しであり、高速道路の出入り口を新設したことも含めて、広域集客につなげる今後のクラブ経営方向を示唆できる。新スタジアムはアクセス手段の見直しを含め、広域集客の具体化として有効な手段として建設資金の周辺地域への協力依頼も効果的であると思う。 ②商業施設と一体となったスタジアムについて 市街から大きく離れた立地、高速道路を利用した州全域からの広域集客(スイスでは基本的に商業施設は日曜閉場)のための大収容駐車場の必要性などから大型商業施設と一体化した複合施設を運営・管理をしたことはスタジアム施設の有効利用という観点からスイスの商慣習をうまく生かしてい

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