Ⅲ‐3.ザンクトガレン Jリーグスタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 35 れており、<2>の施設管理会社が興行運営も行い、興行収入に加え施設賃貸収入や駐車場運営も含んだ総収入から<3>のクラブ運営会社に運営費用を供出するという下記に示すように他ではあまりないような経営構造である。 ②FC St.Gallenの2009-10の損益 【収入】 CHF (百万円) BetriebsAGからの分配金 610万 (518) リーグ分配金 117万 ( 99) 会員・パトロン 84万 ( 71) その他収入 61万 ( 52) 移籍金収入 149万 (126) 計 1,021万 (868) 【支出】 CHF (百万円) トップチーム人件費 731万 (621) 試合運営費 156万 (133) 移籍金支出 34万 ( 29) 減価償却費 97万 ( 82) 利益金 3万 ( 3) 計 1,021万 (868) 2. AFGアレナについて (1)スタジアム建築への経緯 旧スタジアムは市街にあったが、施設も古く、リーグ規定にそぐわず運営許可が下りない状況になっていたため1999年に新スタジアム建設のため後にオーナー会社となるStadion St.Gallenを市が設立し、郊外の高速道路隣接地にショッピングセンターも含んだ建設計画を発表。住民投票の賛同を得たが、その後自然保護など部門調整で計画案が否決されるなど紆余曲折があったが、2003年市議会承認を経て2005年着工に至り、2006年、建設資材販売など手掛けるAFGがスイスで初めてのネーミングライツを10年契約で取得した。2008年5月完成。スタンドの各セクターにも命名権を獲得した企業の名前が冠されている。 (2)AFGアレナの特徴 ①スタジアムの地下はショッピングモール 郊外の高速道路に隣接した50,000m2の土地にスタジアムがあり、その地下に23,500 m2の「ショッピングアレナ」が2フロア50店舗以上出店している。隣地には13,000 m2の大手家具店IKEAや1,100台の駐車場を併設。さらに周辺に3,000台の駐車場を有している。スタジアムとショッピングアレナの建物は地下4階・地上6階(スタジアム部分)の10層の構造となっている。 また、高速を挟んだ向かいに、トップチームの練習場と市営グラウンド9面がある。 ②AFGアレナ全体の建設コスト CHF (百万円) AFGアレナ(スタジアム単体) 6,920万 (5,882) ショッピングモール 27,080万 (23,018) 高速入口(インフラ整備) 6,985万 ( 5,937) 計 41,000万 (34,850) ③スタジアム建設資金調達について スタジアム建設費用はCHF6,920万(58億8,200万円)であったが、ザンクトガレン州やカントン地方など周辺自治体からも「スポーツと文化に投
元のページ ../index.html#36