Ⅲ‐2.バーゼル Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 33 必要となる。 審判更衣室は2室用意され、女性レフェリーへの配慮がなされている。レフェリーの入り口には選手と同レベルのセキュリティが適用されている。また、審判更衣室から操作できる両チーム更衣室へのベルがあり、ベルが鳴れば監督は1分以内にグラウンドへ選手を送り出さなければならない。 ホームチーム更衣室には医務室とプールが設置されているが、アウェイ側には設置されていない。 (3)運営の特徴 チケットは、25,000席が年間指定席として販売されており、近隣公共交通機関とのコンビチケットが設定されている。併設するショッピングセンターとのコンビチケットは設定されていない。 建設段階から環境対策に留意し、ごみ処理システムを設置した。施設から出るごみの90%は自前で処理している。 年に3~4回スタジアム協議会が開催されており、各スタジアムスタッフの交流や仕事の分担等を調整し、スタジアム運営のための情報交換を行っている。 3. まとめ 市内複合型スタジアムを運営していくために、クラブの存在は非常に重要なものとなるが、経営的に、クラブ一辺倒にならないように工夫されていた。 建設にあたって、交通機関を前提に検討されている。また、市内複合型としてスタジアムそのものに魅力があることが求められ、スタジアムに色々な機能があることが条件となっている。運営責任者のコメントの中に、「社会と信頼し合っていることがクラブの成功への道である。」とした一方で「サッカーは予想がつかない。」とあったが、地域の街づくりの重要なパーツとなることが最重要でありながら、クラブ一辺倒にならない経営ができるスタジアムでなければならないと示唆していた。 また、これだけ素晴らしい施設でありながら、常に改良しなければならないとし、努力している姿勢を参考にしなければならない。 施設作りと運営の方針として語られた「スポーツと文化にとってよいことを行う。」の意味がすべてのサッカースタジアムの共通目標になる。 座席図
元のページ ../index.html#34