スタジアムプロジェクト欧州視察2010報告書
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Ⅲ‐1.BSCヤングボーイズ Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 28 (3)ソーラーパネル 屋根の全面にソーラーパネルが設置されている。スタジアム上にあるソーラーパネルとしては世界一のサイズで4,500m2。年間で120万キロワットの電力を生産している。BKWというエネルギー会社がスタジアムパートナーとなり、自らの技術をスタジアムに生かそうと、金銭的にも自らの負担で設置した。作った電力は蓄積できないため、すぐに電力会社に売っているが、その売上を設置費の返済に回しており、10~15年で返済できる見通しが立っている。 (4)ラウンジ 3階のチャンピオンズラウンジはこのスタジアムの「ハート」と称され、1,400人収容。試合時には1,000~1,200人が常時入っていて、社交の場になっている。約300の企業が利用。名刺入れスタンドが設置されており、ラウンジ利用各企業の名刺が入れてある。興味のある企業の名刺を見つけてアプローチできる仕組みだ。試合後も1時間オープンしていて、飲食は取り放題。このラウンジで大切にされているのは「食事が良い」「試合内容が良い」「雰囲気が良い」の3つ。チャンピオンズラウンジの会員向けに、サッカー観戦旅行やその他の旅行等も企画されている。 2階のフューチャーラウンジはやや安価なラウンジで、550人収容。立食用のテーブルが置かれ、ケータリング飲食が提供される。ここを利用している約150社では、ベルン近郊の企業が多いという。 (5)運営面 スタジアム所有者はスタッド・ド・スイス・ヴァンクドルフ・ナショナルスタジアム株式会社=23%、ヴァンクドルフ・センター・ベルン=76%(ロンドンに住むインド系富豪の所有)、住居=1%。赤字、黒字等は社外秘とのことだったが、経営的にはCHF7,000万(59.5億円)というショッピングセンターから入る賃貸料が最も大きい(コープという企業と20年契約)。「スポンサーからの収入に頼らない。サッカーに左右されない。ここには人が集まる」という信念がある。 複合型施設を造った動機は、クラブの経営が昔のスタジアムでは困難になってきたことがきっかけ。だが、いいスタジアムを造ろうとすると費用も膨らむ。それを補うために収入を生む各施設を併設した。

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