Ⅲ‐1.BSCヤングボーイズ Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 27 2. 「多機能」を誇るスタジアム (1)2005年に画期的スタジアム誕生 この地にスタジアムが建設されたのは80年以上前。その後改築して2005年7月末、工期4年をかけて現在のスタジアムが出来上がった。建設費はCHF3.5億(297.5億円)。 特長は「スポーツ、経済、文化、集いのためのアリーナ」という多機能性。管理者であるスタッド・ド・スイス・ヴァンクドルフ・ナショナルスタジアム株式会社は、自らの管理業務として以下を掲げている。 ・全般的なスタジアム経営のマネジメント ・試合及び大イベントでのスタジアム経営のマネジメント ・スタジアムにあるビジネスセンターの経営 ・その他、史上へのスタジアム提供 経営目的は「誰にでも場所を提供すること」となっている。 改築当初、市民の中では「以前のほうが良かった」という反応が多かったが、「ここでの試合を重ねるにつれ、皆の心をつかんでいった」という。 (2)複合型施設 最大の特徴は、多数の施設が併設されていること。クラブのオフィスやミュージアムは当然として、地下には36店舗が入った2万m2のショッピングセンターがあり、同じ敷地内の向かいの建物には職業専門学校も入っている。フィットネスセンター、ディスコもある。 また、スタジアム自体も多機能であり、内部の会議室では1日平均4回も会議に利用されている。人工芝のフィールドはイベントも実施可能で、コンサートどころか、アイスホッケーの試合も開催された。 ピッチを人工芝化したのは2006年。理由は、アカデミーチームの練習場が確保できなかったためで、スタジアムで練習できるようにした。年間を通して芝質が変わらないため、選手たちには好評とのこと。ただし人工芝では国際Aマッチが行えないため、EURO2008開催時は上から天然芝を敷いて試合開催した。練習場が見つかれば、また天然芝化することが考えられている。 イベント案内のデジタルボード。Jリーグ来訪が案内されていた。
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