スタジアムプロジェクト欧州視察2010報告書
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Ⅱ‐3.ドレスデン Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 24 ◆FIFA女子U-20の大会で会場として7試合使用され、ベストスタジアムの賞を受けた。 ◆ドイツ女子代表の試合も開催した。 (4)財務状況 ◆クラブの財務状況は破たん寸前である。 ・スタジアムが完成した時の返済(3部リーグ)の見通しが甘く、このような結果(赤字)を生んでいる。 ◆年、約€500万(6億円)の赤字。 ・市が赤字の補填。赤字解消のために、市が監査役となって解決を図るため取組中。 (5)今後の課題 ◆黒字を目指していくには、2部に上がることが最優先。(収益増を図るために…) ◆サッカーだけでない、イベントや企画を行い、スタジアムに親しんでもらうことを計画する。 (6)このスタジアムが他に比べて良い点 感情的であること。声が響き、体感できる。また柱もなく斜度もあり、チームカラーに染めてあり、試合に集中できる作りになっている。建設時も「感情」を大切にした。市長のこの決断が、10年後も正しいことを願う。 スタジアムのキャッチフレーズは「感動を生みだそう」。 3. 所感 ここドレスデンではサッカーが地域に根差し、チームの成績やスタジアムで行われるイベントが市民の話題の中心にあり、市民の誇りとして存在している。文化として根付いていると感じた。 スタジアム建設におけるPPP(パブリックプライベートパートナーシップ)は、最近PFIに代わり各自治体に広がってきている手法でとても参考になる方法だと思う。施設、設備は官が保有。建設の企画段階から民間業者が参加できるため、これまでによくあるような、「競技場を造りさえすればいい」とか、「デザインなどに凝り、使い勝手が悪く、必要のないところにお金を使っている競技場ができる」ということが、回避できそうだ。 PFIもよいが、PFIのように企画が自治体で、資金とノウハウを民間に求める仕組みとして事業を展開すると、結局使いにくい施設が出来上がる。 お客様目線に立ち、利用しやすい、快適で安全な夢の舞台、素晴らしいスタジアムが日本にも数多く建設されるよう、今回のような視察は意義深いことと思う。 客席の角度、スタジアム内の動線、立地、アクセス、シンボルカラー、合理的、シンプル、座席の質、快適性、ホスピタリティー等々まだまだ沢山スポーツ先進国に学ばなければならない。 今回視察させていただいたルドルフ・ハルピッヒ・シュタディオンは、市民のための素晴らしいスタジアムと感じた。できればもう少し時間をかけて見学したいと感じた。 市営でもクラブエンブレムがスタンドに

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