Ⅱ‐2.マクデブルク Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 18 7. 所感 MDCCアレナはこれまで見て来たスタジアムの中でも、37億円と建設コストが非常に安く、かつ「国際試合開催可能」という機能も併せ持った、日本がこれから見習っていくべきスタジアムであると感じた。 ホームクラブが4部でありながら、観客席すべてに屋根が掛かり、大型映像は2基、背もたれの高さのある青いクラブカラーの椅子、スカイボックスやビジネスラウンジまで備え、コンコースのトイレも充実している。 試合中、サポーターからはクラブを叱咤激励するシーンが幾度も見られた。ゴール裏サポーターの熱狂はいうまでもなく、一般のファンからVIPにいたるまで、懸命にボールを追う選手に釘付けとなり、1プレー1プレーに厳しい指摘を行う姿には正直カルチャーショックを受けた。 今後日本においても、スタジアム建設では必ずと言っていいほど、地方自治体の力が必要になってくる。このMDCCアレナを見ると、市とも協力し、サッカーだけでなく、地域ビジネス、地域コミュニティ、地域生活に根ざした「地域に欠かせないハコ」になっていると感じた。 日本においてのこれからのスタジアム建設は、「県民(市民)の健康づくりの場」であることはもとより、地域のパートナーとともに「生活シーンの集積体としてのスタジアム」を創り上げていくことが必要であると強く感じた。
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