Ⅱ‐2.マクデブルク Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 14 2005年11月には少しずつスタジアムということが見てわかるようになり、2006年2月になると屋根の建設も始まった。 ②ピッチ工事 2006年4月19日には屋根の工事は終わり、スタジアム内部の建設が始まった。最初は砂を運んで整地するところから着工し、同時にスプリンクラーや芝暖房も整備した。 芝暖房用の配管は、全長約25kmあり、その上に土が盛られ、さらに芝が張り付くよう、芝用の土を平らに敷き詰めた。そして配管出口(スプリンクラー)にも気を配りながら作業は進められ、最後に芝生を張りつけ、工事は完了した。 (3)スタジアムの収益 ①スポンサーからの収入 スタジアムスポンサーからの収入は年間約€150万(1.8億円)。全部で130社のスポンサー企業がある。 ネーミングライツを購入した、「MDCC」はテレコミュニケーションの会社で、130社のうちの1社。年間€80万(9,600万円)支払っている。 現在1.FCマクデブルクは、4部リーグに在籍しているため、テレビ放映回数が減少しており、ネーミングライツ収入に影響を与えている。 担当者は、「3部リーグに昇格すると高い値段がつく可能性が高い。また、人口が23万人の小さな町にしては、スポンサーから確保している金額には満足している」とのこと。 看板などのスポンサーから得たすべての収入は、運営会社に一度入り、その後クラブとスタジアム管理会社で分けていくスタイル。 ※ 運営会社:市51%・クラブ49%が出資 ※ 管理会社:スタジアム建設・20年間の管 理をしているフォークティーフ社 担当者は、「多数のスポンサーがいることで、たとえ1つ企業が抜けたとしても、他のスポンサーで補えるというメリットがある」と言う。 ②その他収益 これまで、スタジアムの収入に関しては、ほとんどはサッカーの収入に頼ってきたが、管理会社はアメリカンフットボールの試合などを誘致している。 今後、管理会社としては、サッカー以外のイベントでも収入を得ることを考えている。 3. 【MDCCアレナ】 競技・運営用設備 (1)ピッチ ①芝生 ロール状の芝生350本をオランダから取り寄せ、絨毯のように広げて張り付けている。2日間で敷き詰めが完了したとのこと。 来年実施されるFIFA女子ワールドカップの際には出場国の合宿地候補となっており、正式決定後はサッカー協会に€10万(1,200万円)の新しい芝を購入してもらうという契約になっている。 ②通風・日照 スタジアム建設の際、他のスタジアムから十分にヒアリングして建設を行ったため、問題はない。悪い例としては、シャルケ「ヴェルティンス・アレナ」では光が入らず、風が流れないので芝にキノコが生えたとかいう問題があったそうである。 全長約25kmに及ぶ芝暖房用の配管 ネーミングライツ(MDCC社)の 壁面掲出
元のページ ../index.html#15