Ⅱ‐2.マクデブルク Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 13 ンを終える。2008-09シーズンからはリーグ再編により、現在は地域リーグ(北)(4部リーグ)に所属している。 2. 【MDCCアレナ】 建設・運営・収支 (1)スタジアム総工費・コンセプト ①総工費 MDCCアレナは、マクデブルク市が3,090万ユーロ(約37億円)の資金で建設した(スタジアム周辺の駐車場は含まず)。 総工費を1席あたりの値段で計算すると、「€1,250(15万円)/席」になる。これは他の中央ヨーロッパのスタジアムと比べて最も安い。 ◆エスプリ・アレナ: €3,500(42万円)/席 ◆アリアンツ・アレナ:€5,000(60万円)/席 ②低価格化のポイント 市が投資しても足りなかった残り半分の建設費は入札とした。落札企業には建設するだけではなく、スタジアムの向こう20年の管理を任せる責任を負わせ、建設後に投資する金額、維持管理費をいかに少なくするか、ということを建設会社(=管理会社)自らが行うようにしている。 さらに建設に際しては、建設前に建設期間、建設費用等を綿密に算出し、1年半という短い工期で完成させた。 ③コンセプト 市から予算化ができた金額は、€1,500万(約18億円)。予算化に際する市のコンセプトは「国際試合が行えるスタジアムでなければならない」というものであった。 ワールドカップ開催地にこそならなかったものの、国際大会が開ける規模であり、近年では、U-17のヨーロッパ選手権などもこのスタジアムで開催されている。 また、他のスタジアムではコンサートなどサッカー以外のイベントでも収入を得ているが、現在このスタジアムではサッカーだけの収入に頼っている。 ④立地 MDCCアレナを建設する以前、1912年からすでにあった競技場を建て直す議論が出た際、「この場所か、他の場所に移るか」という検討を重ね、市議会とも話し合った結果、最終的に、この場所に建設することになった。 (2)スタジアム建設工事 ①基礎工事 着工されたのは、2005年9月~10月。3社が入札した結果、落札した建設会社は、「フォークティーフ社」。フォークは上、ティーフは下という意味。 スタジアムは2,700のコンクリート支柱から建造され、一番重い部品は、約40トン。また、一番軽い物で250キロ。部品の体積を合わせると、3,000㎥ となる。 コンクリート部品はチェコのニンブルクで造り、ここまでトラックで運んできた。 基礎を固めるため、約2,700の支柱を地面に打ち込み、基礎を固めるための砂利を地面に流し込んだ。1ヵ所あたり、約600トンの砂利を流し込んでいる。 MDCCアレナ外観 スタジアムを支えるコンクリートの柱 (デュッセルドルフ) (ミュンヘン)
元のページ ../index.html#14