Ⅱ‐1.ヴォルフスブルク Jリーグ スタジアムプロジェクト 欧州視察報告(2010年10月) 10 船が飛び、小さな子どもたちが街の旗を振る。熱気に包まれて試合は始まった。前半は2-0でヴォルフスブルク優勢。ハーフタイムはピッチ上でサポーター参加のイベントが行われたり、マスコットの狼がスタンド内でファンサービスを行っていた。 後半、長谷部選手のペナルティエリア内でのハンドで同点を許し、終わってみると2-3。残念ながらヴォルフスブルクの敗戦に終わった。 スタンドはあっという間に空になったが、VIPエリアは試合終了後2時間までオープンしており、試合中と変わらぬ盛況ぶりで、ゆっくりと豊かな時を過ごしていた。 4. 所感 スタジアムはスケルトンになっており、機能的な造りの印象を受けた。夜になるとグリーンにライトアップされ、内部の様子も見えておしゃれである。80ページの厚さのプログラムはたった€1(120円)。そのタイトルが数年前まで「Gürn und Gut」(Green and Good)だったように、このスタジアムはクラブカラーの緑に包まれている。ゲートがたくさんありスムーズな観客の移動が可能であることに感動。しかし外部から見ると階段や板の厚みが薄く安普請にも感じた。 スカイボックスやビジネスラウンジの運営や内装、食事の内容は素晴らしく、ホスピタリティ向上がクラブ収支に大きく影響することも学んだ。キャッシュレス化の検討も大いに参考になった。 ガンバ大阪の目指すスタジアムの大きさ、入場者数にほぼ匹敵し、音響の素晴らしさ、ハーフタイムの盛り上げ方、マスコットによるファンサービス、メディアへの対応の在り方など見るべきところがたくさんあった。 市および出資企業との良好な関係が運営の妙でありポイントだと理解した。 5. 長谷部誠選手のもてなし 試合後、我々のボックスまで長谷部選手が来てくれることになっていたが、敗戦ということもあり、難しいのではないかと思われた。 しかし、疲れているにもかかわらず、約束通り我々のボックスまで足を運び、インタビューに快く対応してくれたことに全員が感激し、感謝した。以下、傍士団長との一問一答。 Q:今日は本当にお疲れ様でした。ワールドカップ、アルゼンチン戦、韓国戦、そして今日、素晴らしい頑張りで日本人として誇りに思った。ワールドカップのパラグアイ戦後の「Jリーグを見てください」という発言には本当に感動したが、あの言葉はどこから出たのか?ドイツでプレーしていて、リーグが重要、ということを意識してのことなのか。 A:やはり国のリーグが強くならなければサッカー界全体の底上げにはならない。あのときはキャ
元のページ ../index.html#11