Ⅴ.参加者所感 Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 64 行っていたことに驚いた。すなわち、試合前に自分たちのプレーを楽しみ(するスポーツ)、実際にスタジアムで愛するクラブを応援し(観るスポーツ)、パブでサッカーを語りながら飲む(語るスポーツ)といったように、サッカーが人生の一部になっている、サッカーが文化として根付くとはこういうことかと理解できた。サッカーが文化として、クラブが地域の財産として根付くためには、100年の歴史を積み重ねるしかないかもしれない。しかしながら、Jリーグに関わるスタッフの『サッカーに対する情熱』と『クラブ愛』を存分に発揮して絶え間ない努力をしていけば、100年を待たずとも日本にサッカーが文化として根付く、そういった光景が見られるようになるのではないだろうか。 ◆自クラブはJリーグに昇格してまだ数年で全てにおいて進化していないが、「サッカー・Jリーグ・自クラブ」が地元での理解者を増やし愛されていくことで、いつの日か今回の研修で訪れたヨーロッパのクラブのようになれると信じて疑わない。また、各Jクラブが取り組んでいる集客施策はヨーロッパのクラブよりはるかに進んでいると今回の研修で確信した。この研修に参加できたことを大変光栄に思い、今後の我がクラブの発展に少しでも貢献できるよう励みたい。最後に、自クラブの情報を惜しみなくご教示いただいた研修参加の皆様に深謝する。 ◆様々なクラブを訪問し視察したが、会長を含むクラブに関わる人はみなクラブの歴史を認識し、クラブを愛し情熱を持ち、明確なビジョンのもとに同じベクトルに向かっているように感じた。自分はクラブに在籍して数年だが歴史や自分の部署以外のことを自信を持って語れるかというと自信がなく、スタジアム内も1つ1つの場所を詳しく紹介する程理解していない。またこれから、日本がアジアの中心として引っ張っていく中で、他国からクラブ訪問があった時に、自クラブでは満足して頂ける対応が出来るのか?クラブのビジョンや経営に関する工夫等を語れるのか?なども考えさせられた。 これはクラブ訪問だけでなく、研修中に他のJクラブスタッフと話をする中でも感じたことで、まずは自クラブについてもっと知る必要があると感じた。 ◆ホームタウンという視点とはまた別の視点からクラブに質問したいという方も多かったように思う。人数が多かったので多少仕方の無いことだが、目的別に各部署の方に別々に話を聞くなどの時間があってもいいと感じた。 ◆唯一、勝手なお願いをするならば、通訳の質と量が研修成果を左右するため、その準備にはさらなる注力をいただきたい。イングランドでの通訳については、フットボール事情にも詳しく情報に厚みがあり通訳の重要性を改めて感じた場面であった。 ◆12日間で数多くのクラブの視察、観戦をすることができたことは、非常に良い経験になった。ただ、移動が大変だった部分もあり、行程に関してはもう少し余裕を持ったスケジュールを組んでもらえればと思う。また、クラブとそのクラブがある町との関係性を含めて、もう少しじっくり見てみたいとも感じたので、2ヵ国、また1ヵ国をじっくり視察するのも良いのではないか。いずれにせよ、こういった海外研修は、素晴らしい日本サッカーの歴史を築いていくために、是非続けて欲しい。最後の晩餐に来てくれたペリマン氏がこう言っていた。「私は日本で仕事をする中で、日本人の勤勉さを学ばせてもらった。こうしてJリーグの各クラブの方が集まって、ヨーロッパのサッカー文化について学ぶという姿勢は素晴らしく、他の国にはないものだ。ぜひ誇りにして欲しい」と。
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