ホームタウン・イレブンミリオン欧州研修2009報告書
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Ⅴ.参加者所感 Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 63 う事で、地域にクラブがある事の存在意義が確立され、セールスに繋がっている。各クラブの活動方法は様々だったが、長いフットボールの歴史を持ち、フットボール人口が多い国のクラブでも、更に活動に力を入れ、新しい方法を考え試行錯誤を重ねている。昨今、Jリーグのクラブは大事な時期だと感じる。今だからこそ、景気に左右される事無い揺るぎ無い地盤形成の為、クラブのコミュニティ活動には更に力を入れなければと思う。 ◆MKドンズではクラブが地域のニーズ(問題等含む)に対応し非常にいい関係を築いていた。また、政府、企業もクラブを活用することで地域への貢献やPR効果が期待できる。このような、コミュニティを作り上げることが各Jクラブとも必要とされる。同時に、行政との関係もより密接し有効な関係を築くとともに、健全なクラブ経営が重要である。 ◆どの国にも共通して言えることはサッカーを観る、クラブを応援する気持ちがその地域地域に根付いているということ。いわば市場があるということだが、歴史や国民性の違いと言ってしまえばそれまでで、それを利用し創っていくための方法と努力、情熱がクラブ側になければ途絶えるはずである。スタジアム内外の警備は行政(警察)、入場ゲート指定によりおのずと観戦エリアが限られる施設導線、徒歩圏内であったり試合前後の時間を周辺のバール(居酒屋)で楽しめるようなスタジアム立地など、どれをとっても市場性を考慮し作り上げた結果だろう。集客や地域貢献への取り組みが負けているとは思わないが、日本でも、存在することが当たり前な施設へ行き楽しんで帰る、そんなスタジアムとファンを作っていきたいと強く感じた。次の機会があればファンの声を聞いてみたい。 ◆3カ国で5試合を観戦したが、どのスタジアムでも共通して感じた事がある。それは観客が試合を楽しんでいる事。スタジアムに入場する前は出店で腹ごしらえ。試合が始まれば素晴らしいプレーや気迫あるプレーに拍手。そして、選手交代時は多くの人が立ち上がって拍手。試合の流れが応援するチームに傾いた時には、皆で歌ってチームを後押しする。得点すれば全員もちろん総立ちで喜び爆発。スタジアム演出は無いに等しく、観客それぞれが試合を楽しむ術を知っており、観客がスタジアムの楽しさを演出している。自クラブのホームスタジアムでも早くこの雰囲気を作り出したい。ピッチでは選手が持てる力を出し切り、クラブはサポーターと連携をとり、音や映像等を使って観客を誘導する。楽しいスタジアムの雰囲気が自然発生するまで努力を重ねていきたい。 ◆印象深いのは、人々の「フットボールの捉え方」である。彼らはフットボールそのものを楽しんでいる。フットボールそのものが彼らをスタジアムへ引き付ける力となっている。だからなのか、キックオフ直前にならなければ人は集まらないし、終了後10分で3万人以上がはけてしまう。ただし、ゲームだけしか楽しんでいないのではなく、ゲームまでの時間を、ある人は草サッカーをして、ある人はバーで仲間と飲みながら、各々が時間がくるまで楽しんでいる。ヨーロッパでは、試合を観戦するということが大前提で、その行為を充実させるために、社会を巻き込みながら周辺の文化が育ち、フットボールの文化となってきたのではないだろうか。日本で「フットボールという文化」を浸透させることが大事だといっても、ヨーロッパのそれをそのまま日本に持ち込んで通用するものでもなく、うまくアレンジし、日本独自のものを作り上げていくことが必要になるだろう。 ◆プレストンNEの試合前にスタジアム横の広大な芝生の公園で、当該チームのサポーター同士が試合を

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