Ⅴ.参加者所感 Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 62 感できたことが大きな収穫。また、クラブの歴史、スタジアム(観客)の雰囲気についてはまだまだ追いつけない部分があるが、思っていたほどヨーロッパと日本のサッカークラブの環境の差はないと感じた。 ◆長い歴史を作るには、文字通り長い時間が必要。ただ、少なくとも今出来ることはその好循環の起点を作ることだ。百年構想にある地域密着と貢献、そして子供たちを中心とした世代を超えるふれあいの輪を広げること。目指している方向は正しいと、あらためて感じた。さらに熱く、そして具体的に推進していくべく尽力したい。 ◆何より、他のクラブのスタッフと一緒にこの研修に参加できたことが大きな財産になった。クラブ間の交流、情報交換の場としても有意義であった。長い研修を共に過ごす事で、親近感もわき帰国後の仕事でもこのネットワークが活きてくると思う。 ◆今回の研修を通して、Jリーグや各クラブのこれまであまり話をする機会のなかったメンバーに出会えたことは大きな財産となった。自クラブ以外にも同じ想いで歴史を造ろうとしている愛すべきメンバーが全国にいることは、本当に心強く思う。またぜひこのような研修を行っていただきたい。誰が参加することになっても必ず百年構想の礎になると思う。 ◆Jリーグができてから日本のサッカーはプレーのレベルはヨーロッパの各国に近づきつつあるだろう。しかし、サッカーやスポーツを支える文化という意味では課題は多いように思える。もちろん一朝一夕にできるものではないが、現在クラブが行っているすべての活動が積み重なってクラブの歴史となっていくことを意識するとともに、そのような歴史をクラブの財産として蓄積していくことの大切さを学ぶことができた研修であった。 ◆各国で試合観戦の機会があったが、最も心に響いたのはカステジョンの試合だった。約16,000人収容のスタジアムで6,000人程度の来場者の試合だったが、そこで体感した熱狂は本当に刺激的だった。ピッチ上のプレーは決して褒められるレベルでは無かったかもしれないが、愛するクラブを応援する老若男女が生み出すスタジアムの雰囲気は、Jリーグとクラブが目指すべき将来の姿が凝縮しているように感じられた。 「スタジアムに人を集める」ことを考えたとき、短期的に効果のある施策も必要なのはもちろんだが、歴史や伝統に裏付けられた「誇り」を育み、街のシンボルとなり、なくてはならないクラブ、スタジアムとなるような長期的なビジョンに基づく日々の取り組みこそが、いずれ、人が集う理由を自然と生み出すのではないだろうか。 ◆各クラブスタッフに、ホームタウン活動やファン作りについて色々と話を聞いた。特別なイベントや目新しい企画を行っていることはほぼ無かったが、行政との結びつきが強いように感じた。これはクラブが地域の人々にとって本当に必要で、地域に根ざしているということであろう。一方、日本では、不景気になると企業が所有するチームを廃部にしたり、クラブが一企業として扱われ行政の支援が得にくい状況であり、行政や市民のスポーツやサッカーに対する考え方もヨーロッパとは大きく異なっている。日本でも、サッカーやスポーツが持つ公共性を理解してもらえるよう、地道な活動を行い市民に理解をしてもらい、行政にも理解してもらうためコミュニケーションを取っていくと同時に、スポーツ界に関わる全てのスタッフが、スポーツの地位向上に向けて取り組む必要があるのではないだろうか。 ◆今回、欧州の長いフットボール文化の歴史に触れる事で、自分が考えていた以上にコミュニティ活動の重大性を感じた。各クラブともコミュニティ活動を行
元のページ ../index.html#63