ホームタウン・イレブンミリオン欧州研修2009報告書
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Ⅴ.参加者所感 Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 61 らしいコミュニケーションをとる事が出来たことは大いにプラスになった。 ◆ビジャレアルのスタッフが「不変なものがクラブのアイデンティティであり、変わるのが監督や選手だ」と言っていたことがとても印象に残っている。クラブのアイデンティティを貫き、それに合った選手や監督を連れてくるという意味だが(リケルメというスター選手放出の経緯も、この考えからとのこと)、言えてもなかなか貫くことは簡単ではないのでは と感じた。 ◆経営者の思いが、クラブの隅々まで浸透している印象を受けたクラブがある(ビジャレアル、MKドンズ、ブラックプール)。クラブ運営に必要な経営者の意識を元にしたガバナンスは、クラブスタッフの迷いを取り除き、目標に向かって邁進できるものだと再確認できた。 ◆トットナムvsポーツマス戦のチケット47ポンド(約¥6,500)が安く感じた。熱狂のスタジアムは、ハイレベルな試合によって生まれる。¥6,500のチケット料金は、試合内容そのものである事を再認識した。集客施策の観点からは参考になる事は少なかったが、各クラブのビジネス感覚やサッカーに対する情熱、ファンの情熱、歴史の深さを見る事ができた。また、下部組織に投資し子供たちの育成にも情熱を注いでいるクラブの姿があった。最高のクラブを訪問でき、その情熱溢れる経営者の話を聞けたという点で、有意義な研修であった。 ◆研修を終えて、確実な現状分析と発展途上認識、また身の丈にあったクラブ経営理念と戦略、筋の通った太い柱の中長期的経営戦略が必要であると痛感すると共に、フットボールはただのスポーツではなく、教育や地域コミュニティ活動そのものであることを強く認識させられた。そして、その積み上げこそが、イレブンミリオンに通じる道であり、日本における文化・産業としての成熟と、学問としての発展には100年という時間は必ずしも要しないのではないかと感じた。Jリーグの歴史は16年、自クラブの歴史はわずか10年であるが、「Jリーグの歴史を創っている」という自覚と誇りを胸に、日本サッカーや地域コミュニティ活動、スポーツ文化の普及に努め「スポーツでもっと幸せな国」の実現を目指すことを約束する。 ◆ポルトガルでは働いているクラブスタッフが全員と言っていいほど、自分のクラブを愛しソシオになっているという話を聞き、私たちのクラブでもこのクラブの魅力を考え、クラブ内のスタッフからこのクラブを愛し、ソシオになっていく必要があると感じた。 ◆この研修が始まる前に自分なりにしたいことがあった。それは、「サッカーの歴史や文化という一言で終われない何かが“そこに存在”するのを見つける」ことだった。結論から言うと、見つけることが出来なかった。しかし、ヒントはたくさんあった。その中で、以下3点が印象に残った。 ① カステジョンvsヒムナスティック戦の熱狂的なスタジアムの雰囲気 ② スポルティングの、ライバルに対するスタッフの心構えと精神 ③ プレストンNEの、伝統と歴史を大事にし、重んじ、未来へ継承して行こうとしているスタッフの心構え ◆欧州各国の文化と伝統を見習いつつ、日本独自の伝統を築くために各地域の特性を生かしたクラブづくりを目指したい。欧州で再確認できた事を自信に、これからも社会貢献活動を積み重ね、30年・・50年後には将来夢見た姿を実現できるよう努めていきたい。 ◆研修に参加させて頂き、今自分のクラブで取り組んでいるホームタウン活動をはじめとする様々な活動が決して間違ってはいないということをあらためて実

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