Ⅴ.参加者所感 Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 60 ◆100年以上の歴史があるなかで、スタジアムが新しくなっていっても、変わらないものがそこにはあった。クラブを愛する気持ちである。これが歴史の重みか、地域に根ざしたクラブとなって地域の人から愛されている。なぜ地域の人は応援するのか?それはそこにクラブがあるからである。Jリーグが開幕してまだ20年足らずであるが、この歴史に追いつくように、クラブを愛し、地域から愛されるクラブになるようプライドを忘れずやっていきたい。 ◆今回の研修で最も印象に残ったことは、訪問した全てのクラブが、歴史や伝統をリスペクトしていることだった。クラブハウスやスタジアムの前には、チームの象徴的な人物を称える銅像や、等身大の写真。リーグ優勝した年代のチーム集合写真。歴代のユニフォームや、トロフィーの数々。クラブハウスには、各クラブの誇りが随所に散りばめられており、訪問した私たちに語りかけているようだった。様々な試練を乗り越えて、我がクラブが存在している歴史を、もっと伝えていかなければならない使命があると感じた。それは語り継がれて行くこともあり、チームのプレーで示されていくことでもある。でも大切なのは、どんな形であれそこに携わる全ての人間が、クラブの「誇り」を持たなければならないことだと。そしてクラブを愛し、応援し続けてくれる人々を決して忘れてはならないことだと。 ◆クラブを設立後5年しか経過しておらず、さらにクラブ専用スタジアムにおいては2年しか経過していないのにもかかわらず、クラブの歴史を感じさせる写真をクラブハウスやスタジアムに掲示していたクラブがあった。歴史は自らの手で歴史を感じさせる演出をしていくクラブにしか作られないのだなと感じた。 ◆今回、研修に参加し、ヨーロッパの歴史あるサッカー文化を体験できたこと、他のJクラブの方々との繋がりが持て情報共有できたことは大きな収穫だった。3カ国に渡るクラブ訪問や試合観戦で、どのクラブにも共通して感じたことは、長い年月の中で築き上げてきたクラブの歴史にスタッフが敬意を表し、その歴史をきちんと語り、クラブに対する尊敬と愛が大きいということだ。100年近くある歴史や栄光をきちんと語り続けるスタッフや、家族代々、数十年に渡るソシオ会員だという誇りは素晴らしいことである。 ◆Jリーグが始まって16年。ここまで、できていることも多くあり、これからさらに向上させなければいけないところもある。しかし、今回、欧州を訪問することで、100年後のJクラブをリアルにイメージすることができた。参加したJクラブスタッフがイメージを共有できたことは、非常に意義のある研修であったと思う。 ◆クラブはこれから何百年も存在し続けるものであり、また存在し続けなければならない。改めて「百年構想」の意味を身を持って理解できた。まだまだサッカーが根付いていない日本でクラブを運営していくのは大変な作業ではあるが、今後100年続くであろうクラブの礎を作ることに関われている我々はとても幸せであるといえるのではないか。当然1年1年、1試合1試合の積み重ねが何百年に繋がるので大事にしつつもその先を見据えた活動をしっかりとしていきたい。 ◆この研修ではクラブのトップ(代表)のアイデンティティをしっかり根付かせ、チケットセールスをはじめコミュニティ活動、さらには選手育成、試合内容まで柱を一本化する事がいかに大事かということを改めて感じる事が出来た。そして何よりもJクラブ間で素晴Ⅴ. 参加者所感
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