Ⅳ‐3.ブラックプール Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 44 のJクラブにおいても参考になるものであった。 Blackpool F.C.は、スタジアムを地域に貸し出すことにより、地元と一緒に盛り上げていくことを目指しており、この金融危機もそうした取り組みで乗り切っていきたいということだった。 Blackpool F.C.の主なコミュニティ活動としては、地域でのサッカースクール、土曜日の午前中にオープンしているセンター、地元の学校でのサッカー教室、女子サッカー、マッチデートリップ、ミッドウィークリーグ、大人向けの講習会、サッカー技術クリニックなどが行われ、地元のコミュニティとのつながりを強めている。 4.サポーターズ アソシエーション (1)設立の経緯と特徴 10年ほど前、現会長が就任した当初は、クラブとサポーター団体が対立関係にあった。目指すものは同じはずなのだから、協力関係にならなければならないと考えた会長は、「ブラックプール・サポーターズ・アソシエーション(BSA)」をクラブ公認とし、クラブに関する長期的な決定事項などはBSAの話も聞きながら決定するようにした。 逆にその他の団体については一切認めておらず、仮にその他の団体が設立され、クラブに不満をぶつけても話を受け付けない。クラブに話があるのならBSAに入り、ここを通して話をしろというスタンスである。要はクラブとサポーターのつながりを一本化し、同じ方向を向いて協力しやすい関係を構築しているのだ。 (2)概要 BSAの年会費は5ポンド(700円)で誰でも入会できる。BSAが企画するアウェイ応援ツアーに参加できたり、クレジットカードタイプの会員カード所有者はクラブショップでの10%割引が受けられ、クラブが主催する全てのイベントに割引で参加できる。年に一度、会長・監督・選手同席の会合を設けている。 クラブは、スタジアムにBSA用のスペースを設けていて彼らが試合時に集まれるように配慮したり、アウェイ応援ツアーのお金が足りないといった場合に試合会場で告知ができるような配慮はしている。ただそういったこと以外クラブはBSAに対して特別なことはしていない。 5. クラブ経営 (1)組織体系 会長、経営陣、チケット販売、ショップ、ホスピタリティ、バースタッフ、グラウンドメンテナンス、トップ・ユースのコーチ陣などフルタイムのスタッフが63名。選手を含めたパートは300名。 (2)クラブ収入等 年間クラブ収入は700万ポンド(約9億8千万円)。収入の内訳は上位から入場料(35~40%)、TV放映権料(30%)、スポンサー収入を含む会議スペースの貸し出しとなる。これに対し、約半分を選手人件費に充てているという。チャンピオンシップリーグ24チーム中18チームが赤字経営だが、この選手人件費のバランスは他のクラブと比較しても適当な値だろうということである。 (3)その他 特徴的なところで、不動産ビジネスを行う会社がクラブの傘下にあるが、会計上は不動産会社の一部にサッカークラブがあるという形になるという。ここからの収入が3億円近くあるという。
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