ホームタウン・イレブンミリオン欧州研修2009報告書
44/73

Ⅳ‐3.ブラックプール Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 43 では無いらしい)で彩られており、年代ごとの名プレーヤーの写真が飾られている。どこのスタジアムでもクラブの伝統・歴史を大切にすると共に、サポーターに伝えることの重要性を痛感した。ただ、自分達のスタジアムで同じことをした場合、紛失や破損を心配してしまうのは私だけだろうか? (3)VIPルーム 収容人数が10,000人に満たないこのBloomfield Roadにも13名程が一度に利用できる10数室のVIPルームが最上階にあり、個人・企業に1試合1,000ポンド(14万円)で販売している。もちろん食事も用意されている。 また、同じ階にスポンサー専用ルームもあり、フルコースの食事が用意され、試合前後には選手も顔を出し、スポンサーへのホスピタリティを充実させている。 2. チケット戦略 (1)シーズンチケット販売 Blackpool F.C.は、人口わずか約14万人にも関わらず、近年のホームゲームでは、スタジアム埋める約9,000人を集めている。現在のシーズンチケットホルダーは、約5,500人であり、06-07シーズンの3部から2部への昇格で、約2,000人がシーズンチケットホルダーとして増えた。サッカーの歴史や文化が根付いている英国において、チケットに関するプロモーションはそれほど盛んではないが、Blackpool F.C.においても、シーズンチケットホルダーの更新への取り組みは行われている。主な取り組みとしては、シーズン終了までに翌年のシーズンチケットホルダーへアプローチし、更新手続きを早めに行っている。また、更新を早めるために、ベネフィットとしてディスカウントを取り入れているところは、日本におけるJクラブの取り組みと同じであった。シーズンチケットホルダーにおいて、両親が保有者の場合は子どもが無料になるなど、子どもへの配慮が行われていた。 (2)チケット販売 シーズンを通してのチケット販売施策としては、近年、ブラックプールの街において、増加しているアジア系の住民へのアプローチを積極的に行っている。このマーケットへは、スタッフが出向いて販売を行っていくなど、新しいマーケットの取り込みに力を入れているようだ。一般チケットの販売においては、3試合を2試合分のチケット価格で観戦することができるセット券などの販売を行っている。 また、地元の小学校訪問などと組み合わせて、小学生のうちから、Blackpool F.C.のファンへ導く取り組みを行ない、チケット販売に繋げている。その他のチケット販売告知方法としては、地元新聞、ウェブサイト、コミュニティへの告知などを使っている。 3.コミュニティ活動 (1)コミュニティとのつながり Blackpool F.C.では、特にこの地域の特徴として、多種多様な人種が混在していることから、人種差別の撲滅「LET’S KICK OUT OF FOOTBALL/RACISM」をクラブとして取り組んでいる。また、スタジアム施設においても、平日は地元大学への貸し出しや病院としての機能を補助金によって組み込むなど、地域の住民が自然とスタジアムに集まってくる仕組みが工夫されていた。こうした地域の拠点としての機能をスタジアムに持たせることは、日本

元のページ  ../index.html#44

このブックを見る