Ⅵ‐1.MKドンズ Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 33 【2階は改修中の為、座席シート無し】 2. クラブ経営 ホームタウン移転後のクラブ経営は、収支のバランスが悪く赤字経営となっている。クラブ収入は大きく分けて、スポンサー広告収入、TV放映権、チケット収入、選手移籍関係の収入が主となっている。 総収入550万ポンド(7億7,000万円)の内訳は、スポンサー広告収入180万ポンド(2億2,500万円)、入場料収入200万ポンド(2億8,000万円)、TV放映権収入60万ポンド(8,400万円)、選手移籍金110万ポンド(1億5,400万円)である。支出の約50%が選手、スタッフの人件費となり、その他、運営費、新しいスタジアムの建設費、改修費等の支出から、赤字経営となっている。ホテル経営の収入は500万ポンド(7億円)を見込んでいるという。 また、プレミアリーグ昇格になれば、TV放映権収入、入場料収入が大幅に上がるという楽観的見解であった。 3. スタジアムの特色 赤字経営の脱却施策として、「ホテル併設スタジアム」へと改修し、サッカー以外の収益にかけている。ホームゲーム試合日は、部屋のベッドを移動し、試合観戦用の部屋付きBOXシートになるという。試合の無い日は、通常のホテルとして機能する。まさに、赤字経営脱却の切り札的施策となる、スタジアム利活用を生かした先行投資である。 ロンドン市郊外の小さな都市で、ホテル経営は成り立つのだろうか?クラブ経営者に質問すると、近くに大手自動車メーカーの『フォルクス・ワーゲン社』の研修センターがあり、宿泊施設が必要だという事で「ホテル併設スタジアム」に踏み切ったそうである。しかも、すでに年間60,000室の宿泊注文を契約獲得しており、先行投資には自信を持っている。今後、このような手法で同じ大手自動車メーカー「ベンツ社」との契約を計画しているという。しかし、金融危機による世界経済の崩壊の波は避けられないという危機感から、今後の新たなスタジアム利活用ビジネスの展開を模索しなければならない事を予想していた。 Jクラブも同じ問題を抱える中で、MKドンズのビジネス手腕に、今後大いに注目していき参考にしていきたいと思う。 【説明会終了後お土産を渡すJリーグ佐藤氏】 【アウェイサポーターとはシャッターで仕切られるコンコース】
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