ホームタウン・イレブンミリオン欧州研修2009報告書
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Ⅲ‐3.スポルティング Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 30 ・シーズンチケット収入 600万€(7.2億円) ・その他入場料収入 350万€(4.2億円) ・TV放映権収入 1,000万€(12億円) ・スポンサー収入 3,000万€(36億円) ・BOXシート収入 400万€(4.8億円) ・ビジネスシート(20年席等) 450万€(5.4億円) ・その他広告収入 300万€(3.6億円) ・ソシオ会費収入600万~700万€(7.2~8.4億円) ・他スポーツ会員収入 150万€(1.8億円) ・テナント収入 800万€(9.6億円) ・他の活動(スタジアムツアー、コンサート) 75万€(0.9億円) 7. その他 (1)マーチャンダイジング 現在は外部委託しているが、委託先の会社倒産のため、今後は自前で行うようになる。ちなみに、その会社はレアル・マドリッドのマーチャンダイジングも請け負っていた。 (2)クラブスタッフの数 スタッフは総勢(グランドキーパーを含め)400名ほど。マーケティング部門には12名が所属している。 (3)ジャーナル・スポルティング クラブ独自の新聞(有料)を世界中のスポルティングファンに向けて発行している。世界で最も古いクラブ発行の新聞で86年間発行している。 (4)トロフィーの数 クラブ全体でのトロフィーの数は、15,000個以上あり、FCバルセロナに次いで、世界で2番目に多い。 (5)ベンフィカへの強烈なライバル心 スタジアムから1km~2kmしか離れていない場所に、強力なライバル・ベンフィカが存在する。 「彼らに負けないように自分たちが努力することだ。お互いが切磋琢磨することで発展していくので、ライバルが存在することは、良いことだ(クラブスタッフ談)」が公の発言であったが、一方では、「スポルティングがヨーロッパチャンピオンになるより、ベンフィカが2部に落ちることが私の夢。」「(ベンフィカのスタジアム前にある)エウゼビオ選手の銅像の首を取って、スポルティングのスタジアムに持ってくることが目標。」と、強烈なライバル心(本音)をのぞかせるスタッフもいた。 8. 所感 今回視察したスタジアムに関して言えば、ホームスタジアムはクラブの所有物であるため、クラブの特徴を出したり、歴史と伝統を感じさせるモニュメントや往年の名選手の写真パネル、クラブエンブレムがいたるところに設置するなど、様々な工夫が見られた。 例えば、スポルティングでは、スタジアムのシンボリックな黄色い4本の柱に地域のシンボル、他の国から来た人も「あれがスポルティングのスタジアムか!」とはっきりわかる工夫があり、日本では感じられない『スタジアムとして特徴を持つことの大切さ』を感じた。 日本では、ほとんどのクラブが県や市といった自治体が保有するスタジアムを試合毎に借りることとなるため、クラブの特徴や歴史と伝統を感じさせる仕掛けを行いづらい側面もあろうかと思う。 しかしながら、クラブ(あるいはスタジアム)が地域のシンボルとして認知され、地域の財産となっていくためには、前述したような仕掛けが必須であると感じたし、大いに勉強になった。 また、各クラブが「地域に根差したクラブ」となるためには、ホームタウン活動をはじめとする地道な取り組みを継続的に行う必要がある。その活動の際、間違いなくベースとなるのは、この仕事に携わるクラブスタッフの“サッカーに対する情熱”と“クラブ愛”であることを、今回の欧州研修を通じて最も感じた。 研修に参加した各クラブスタッフ、もちろんJリーグ事務局の方を含め、今回学んだことを1人1人が日本に帰ってから活かしていくことが、欧州に負けないJリーグの百年の歴史を作ることにつながっていくのだと思う。

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