Ⅲ‐3.スポルティング Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 29 4. ソシオについて (1)新しいソシオ制度と獲得策 ソシオのカテゴリーと金額は下記のとおりである。 会員数は、10万人である。 カテゴリー月々の会費18歳以上12ユーロ1歳未満のソシオの子もしくは孫免除17歳以下4ユーロ11歳以下3ユーロ18歳未満でリスボンから50km以上の居住者55ユーロ/年間20年以上のソシオ2ユーロ スポルティングが積極的に展開している新しいソシオ制度(会員証)は、下記図のカテゴリーによって区分されており、未成年者のカテゴリーを除いてクレジット機能(VISA)がついている。(※ライバルであるベンフィカは、MASTER CARDで全く同じことをスポルティングよりも積極的に展開している) 従って、このカードでチケット代やソシオ会費を支払ったり、提携するお店や会社で使用することにより、割引があったり、ポイントがたまる仕組み。たまったポイントを使用して、特別な特典を享受することができる。 例えば、選手に会うことができたり、子供が選手と一緒に入場できたり、チームの国外遠征時に同じ飛行機で旅ができたりといった、特別な特典を享受できる。 新規ソシオの獲得のために、“PACK SOCIO S3G”という60€(7,200円)のお得なパッケージ商品(入会キット)を販売している。内容は、ソシオ会員証、試合の無料招待券2枚、DVD1枚、旗1枚である。 (2)パッケージチケット また、“GAME BOX”と呼ばれる複数試合のパッケージチケットを販売している。 例えば、リーグ戦10試合+チャンピオンズリーグ1試合の11試合をソシオ1名であれば、最も安い席は85€(10,200円)、最も高い席は220ユーロ(26,400円)で観戦できる。 一方で、ソシオでない方は、リーグ戦10試合が1名分で95€(11,400円)であるが、座席はスタンド2Fのサイドもしくは見にくい席に限定されており、ソシオとの差別化が図られている。 5. スポンサーシップについて ポルトガルサッカー界は、ベンフィカ、FCポルト、スポルティング・リスボンの3強が、常に優勝争いをしているリーグである。従って、大企業は上記3クラブを同時にスポンサードする場合が多い。理由は単純で、どこか1クラブのみスポンサードすれば、残り2クラブのサポーターの不買運動につながりかねないためである。逆に、「3チームを同時にスポンサードすれば、国民の99%はカバーできる(クラブスタッフ談)」。 上記スポンサーシップの交渉は、3チーム合同で行い、全体のスポンサード金額が決定すれば、そこからベンフィカ40%、スポルティング30%、ポルト30%といった割合で分け合う。これは、ファンベースの大きさに比例している。クラブとしては、単独で多額のスポンサードを受けたいところではあるが、企業側がこの形態を希望しているとのこと。 6. 収入構造 「クラブに直接入る収入」と「スタジアム運営会社に入る収入」との区分が、話を聞く限りわかりづらかったため、正確なクラブの総収入はわからないが、選手移籍金を除く収入構造の概要を、参考までに記載する。
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