Ⅱ‐4.ビジャレアル Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 16 はビジャレアル市であるが、ビジャレアルC.F.が独占的に使用している。現在の収容人数は22,000人であり、近年の改修工事により、座席数の増加とともに、UEFAの基準に適合したスタジアムとなった。具体的にはスタンドはVIP席の整備や企業用ボックス席とアウェイゾーンの増築を行うとともに、バックスタンドの最前列を削り、スタンドとピッチの距離を遠ざける工事を行った。 人口約5万人の街でありながら、試合日はその約半分にあたる22,000の座席がいっぱいになるという驚異的なクラブである。 <エル・マドリガル> (2)スタジアム改修の経緯 「エル・マドリガル」は現会長が就任する以前は10,000人の収容人数であった。その後、初めてに1部に昇格したときに17,000人収容へ座席数を増やした。翌年は2部に降格するものの、スタジアムは23,000人収容にさらに増築した。 当然のことではあるが、これらの増築は来場者数の増加にともなって実施された。ビジャレアルではこの最初の1部昇格(1998-99シーズン)のときにまず大きな来場者数の増加があった。その次に大きな来場者の増加があったのは2003-04シーズンにUEFAチャンピオンズリーグ(以降、チャンピオンズリーグ)に初出場したときであった。このときにはアボナードス(年間シート会員)が17,000人達した。今シーズン(2008-09)はさらに増え、20,300人が会員となっている。 このような劇的な来場者の増加の背景にはクラブの成績が躍進したことが1番の要因とのことだが、アボナードスの多くがスタジアムの徒歩圏内の地域住民であることから、立地が良いということも挙げられるそうだ。また、アボナードスの価格を安くしていることも一つの要因である。特に若年層の来場者獲得に力を入れているため、30歳以下の方を対象とする価格は年間130ユーロ(15,600円)からある。さらに、ユースの選手であれば年間30ユーロ(3,600円)で販売している。それ以外に来場者を増やすための試みは特に行っておらず、とにかく「良いサッカー」を見せることこそが来場者を増やす唯一の方法とのことである。 (3)セキュリティについて スタジアムのゲートは改札機が設けられており、バーコードを読み取るとバーが降りて入場できるようになっている。このシステムはリーガエスパニョーラ全体の共通システムである。入場ゲートや観客席にはいたるところに監視カメラが設置されており、試合当日の厳重な警備体制が想像できた。特にゴール裏上段のアウェイ用スタンドは、他の来場者と動線が全く異なっているとともに、ピッチに物が投げ込まれないようスタンドの前面にネットが張り巡らされていた。また、監視カメラも複数台設置されていた。 ビジャレアルでは過去に悪質なサポーターを排除した経緯があるそうで、その結果、現在は若い世代が多く、3割を女性が占めているなど、スタジアムの雰囲気は暴力的とは程遠い和やかさが一つの特徴となっている。 (4)グッズ販売 ビジャレアルのオフィシャルショップはスタジアムの内と外に2ヶ所あった。今回の研修ではスタジアム内にあるグッズショップを見学した。グッズのラインナップとしては文房具やペナントなどの小物もあったが、衣類を数多く取り揃えていた。特にレプリカユニフォームのサイズは子ども用から大人用まで種類が豊富に用意されていた。訪問時がちょうど
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