Ⅱ‐3.カステジョン Jリーグ ホームタウン・イレブンミリオン 欧州研修報告(2009年1月) 13 っている顔なじみの観客が多いためか、席番は気にせず、周辺エリアであればどこでもOKと言うような非常にアバウトな感じがした。 スペインのサッカー放送は伝統的にラジオの力が強いらしく、イヤホンを耳にしながら試合観戦をしている人が非常に多い。余談だが、この国ではサッカー選手のことをフガドール(遊び人)と呼び、好きなことで飯を食べていることの代名詞となっているようである。英語でプレーが「遊ぶ、楽しむ、スポーツをする」という意味があるような感じだ。 コールリードするサポーターはホームゴール裏(1階メインスタンド寄り)を中心に、1階アウェイゴール裏、ホームゴール裏2階のバックスタンド寄り、バックスタンド1階など確認できただけでも4ヶ所。小グループが複数存在しているようである。ただ、それぞれが思い思いのコールをして、周囲の観客がそれに応え、スタジアム全体に広がるため、応援の一体感は見てとれた。 アウェイのサポーターはバックスタンド2階に仕切られたスペースで応援していた。 全体的には、おらが街のクラブという感じが強く、お年寄りや子供同士、親子三世代、ベビーカーを入れて観戦するファミリー層の姿も多く見られた。スペイン1部リーグの客層とはまた違った感じを受け、非常に親しみやすい。 これは収容人数と応援スタイルがある程度日本の状況と似ていること、試合レベルも1部リーグとは違い泥臭いプレーや必死さが見受けられたためか。ただ、前述のとおりピッチが非常に近く、タッチラインを走る選手の息づかいまで伝わり、アウェイサポーターに対する野次も含めてスタジアム全体で個々が観戦を楽しんでいる様子などは、日本とは異質さを感じる。 試合終了後は30分も経たないうちにすべての観客が会場を後にし、ゲートが閉じられた。場外に出た観客は家路につく者、バルと呼ばれる居酒屋に行く者と様々だか、スタジアムの周囲からはすぐに姿を消した。 ゴールシーンに立ち上がって歓声を上げる観客 4. まとめ この一戦だけをもってスペインのサッカー観戦事情とすることは出来ないが、地域に応援するチームがあるのが当たり前といった観が観戦者に強く見られた。また、スタジアムは観戦しに行く、応援しに行くところで、それ以上でも以下でもない、そこで顔見知りになる場合もあるが、友好を深めるのは別の場所といった感じもした。このことからスタジアムのホスピタリティもさほど充実たものではなかったのではないだろうか。得点シーンが多いことも手伝って、非常に居心地が良い観戦スタイルに感じた。
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