入を得た。また同社はクラブのスポンサーにもなった4。さらにクラブは、スタジアム施設の試合日におけるネーミングライツを販売することが出来る。 このようにクラブが優遇されるのは、クラブに政治的な影響力があるからかと調査者が尋ねると、Fritz氏は「そういう要素もある」と言う。「ときに大物政治家が、クラブメンバーになっていることもある」 7 多機能スタジアム スタジアムに複数機能(multi-function)をもたせることは、はじめから考えていた。ユーロ2008終了後、ピッチを天然芝から人工芝へと貼り替えるので、いろいろなイベントが可能になる。 ユーロ2008終了後、7月18日には、最初のコンサートが予定されている。但し第一に優先されるのは、あくまでサッカー。年間24~25試合を見込んでいる。コンサートの開催時期は、サッカーのシーズンオフ、すなわち夏と冬に限られる。年間2~4回の利用だろう。 図 4:ゴールラインから客席までの距離 図 5:ゴール裏には立ち見席もある CASE 6; HYPO GROUP ARENA, (Klagenfurt, Austria), ver.5 p.5 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved 4 オーストリア代表チームは、ヒポ・グループのライバル銀行をスポンサーとしている VIPラウンジを含むスタジアムの諸室でも、イベント、カンファレンス、メッセやパーティを開催できる。 図 6:VIPラウンジ 図 7:イベント準備中 図 8:ビジネスラウンジ ユーロ2008終了後、約1年、7百万ユーロ(11.3億円)をかけて、バックおよびサイドスタンドの第2層座席を撤去する。これにより大会中の32,000席から、12,500席(または15,000席)まで縮小する。 この措置により、運営コストを3分の1にまで下げることができるという。 このように撤去される座席は、リースによって調達される。オーストリアには仮設座席のリース会社が、いくつもあるという。 調査当日視察した湖畔のビーチバレー会場は、大会開催時のみ仮設スタンドを設置する。また市内の名門アイスホッケー・クラブのリンクは、シーズンオフに座席を取り外し、メッセ会場に変貌する。 仮設座席が活躍するのは、人口9万4千人の小さな町で効率的にイベントを開く工
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