CASE 6; HYPO GROUP ARENA, (Klagenfurt, Austria), ver.5 p.3 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved スタジアム建設 1 UEFA EURO 2008TM(ユーロ2008) 市が2002年、ユーロ2008の開催地として立候補したことが、スタジアム建設のきっかけとなった。市は既存のベルターゼー・シュタディオンを壊して、跡地に新しいスタジアムを建設する計画をたてた。 ユーロ2008はオーストリアとスイスの共催で、オーストリアでの開催地は4会場だが、クラーゲンフルトは、そのひとつに選ばれた。 その後、大会の主催者UEFAの承認を得るにあたり、スタジアムが着工前で、事前の視察を受けられないことが問題になった。基準を満たすスタジアムが本当に大会に間に合うことを証するために、政府保証が必要だった。その関係もあって、UEFAに申し込む際には、建設費用の負担先も明確に決まっていた。 2 入札時からユーロ2008後を想定 建設業者は、入札によって決定した。Fux氏は市のアドバイザーの立場で、2004年から準備に携わった。 業者には二つのことを求めた。まずプランニングと建築の両方ができること。またユーロ2008終了後の仕様について(スポーツパークとすることは既に決まっていた)、具体案と費用を示すこと。 オーストリアから5社、ドイツから2社の応札があり、選ばれたのはFritz 氏が所属するAlbert Wimmer ZT GmbH社だった。 同社が環境に配慮した計画を示したことも、選考理由になった。スタジアムの給湯はソーラーシステムでまかなわれ、ユーロ2008終了後は、スタジアム周辺を公園緑地にする計画だ。 建設プロジェクトは、Fritz 氏をリーダーとして、進行した。2005年にプランニング、2006年1月から基礎工事。同年春から着工し、2007年9月に完成させた。 オープニングには、日本代表チームが訪れて、試合をした。 3 建設費用と、資金調達 スタジアム建設費用は下表の通り。ユーロ2008は、交通や安全への要求が高く、その分高額になったとのことだ。 (百万ユーロ) (億円)スタジアム 44 71縮小工事 7 11.3スポーツパーク 15.5 25総計 66.5 107.3用地はもともと市有なので、取得費用はかからなかった。旧ベルターゼー・シュタディオンと、隣接するガーデニング施設の土地を、新スタジアム建設地に充てた。 資金は、国、州、市が3分の1ずつ負担した。完成後は、市が単独で所有している。 同じユーロ2008の会場でも、都市によって負担比率は異なるという。たとえばシュタディオン・チボリ・ノイ(インスブルック、オーストリア)の改修では、国の資金が大部分で、州と市はほとんど負担しなかった。但しいずれも民間資金は、入っていない。 資金集めが可能だったのは、ユーロ2008に立候補していたからで、「それでなければ無理だった」とのことだ。 スタジアムの建設主体は、市が100%出資して設立した、Sportpark Errichtungs2 GmbH 社であった。 スタジアムの運営 4 スタジアムの運営 市が100%出資するスポーツパーク社(Sportpark Klagenfurt GmbH)が、スタジア 2 Errichtungs(独語)の英訳は、Development
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