欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査2008報告書
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間契約で企業に販売している。 30~50人程度を収容するラウンジもあり、招待客を着席のコース料理でもてなす。ハーフタイムや試合終了後にも、デザートやドリンクのサービスがある。選手やコーチが訪れ、招待客に挨拶する。 このような各種ホスピタリティ施設を利用する権利を、企業や富裕層が購入し、社交、商談、顧客サービスとして、活用している。ホスピタリティ収入は、クラブまたは管理者の収益に大きく貢献している。 図 6:チェアマンズ・スウィート (リーボック・スタジアム) 日本で、サッカー試合やサッカースタジアムをこのように利用する例は、まだ多くない。しかし東京ドーム、阪神甲子園球場、ヤフードーム、クリネックススタジアム宮城などには、欧米流のスポーツ社交ビジネスの萌芽が感じられる。また大相撲の枡席のように、食事とおみやげ付きでゆったり観戦する伝統もある。サッカーにおける事業化も、十分検討に値するだろう。 スポーツイベント時に顧客をもてなす設備と飲食提供能力は、それ以外の日にも会議、パーティ、展示会等の設備として、十分に活用しうる。本調査の6事例すべてが、このようなスタジアム利用を前提に建設されていた。 日本でも、スポーツ施設の一部を会議室として貸し出す例はあるが、リノリウムの床のうえに、折りたたみの椅子と机を並べた、実用一点張りの部屋がほとんどだろう。欧州式は、クラブカラーの絨毯を敷き詰めた部屋に「ビジネスクラス」の調度品をあつらえ、本格的な飲食サービスを付加するので、ホテルの会議室を借りるイメージに近い。 図 7:ビジネスクラスの会議室 (リーボック・スタジアム) 図 8:レストラン (リーボック・スタジアム) 9.2 コンサート、イベント 大規模コンサートが、スタジアムの大きな収入源になるのは、欧州でも日本でも、同様であろう。その際に問題になるのは、ピッチにコンサート客を入れる場合の、天然芝の保護である。 多くのスタジアムは、サッカー試合に影響がないよう、6~7月のシーズンオフに限定して、コンサートを開催している。但しアムステルダム・アレナは、芝生を4~5回、シーズン中に張り替えることを前提に、 欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査Ver. 9 p. 8 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved

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