欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査2008報告書
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CASE 5; Philips Stadion (Eindhoven, Netherlands), ver.6 p.4 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved 5 クラブの経営概況 表 1:連結損益計算書より 2006/07 2005/06 売上高 87.9百万ユーロ141.9億円62.9百万ユーロ 101.6億円営業費用 65.4百万ユーロ105.6億円51.9百万ユーロ 83.9億円 固定資産の減価償却 5.1百万ユーロ8.3億円4.8百万ユーロ 7.8億円営業利益 22.4百万ユーロ36.2億円10.9百万ユーロ 17.7億円経常利益 15.6百万ユーロ25.2億円12.3百万ユーロ 20.0億円税引き後利益 6.2百万ユーロ10.0億円2.4百万ユーロ 4.0億円 表 2:連結貸借対照表より 2006/07 2005/06 有形固定資産 84.2百万ユーロ135.9億円88.9百万ユーロ 143.5億円長期負債(金融負債) 49.0百万ユーロ79.1億円52.9百万ユーロ 85.3億円長期負債の当期支払い分 20.6百万ユーロ33.3億円12.3百万ユーロ 20.0億円 連結損益4は黒字基調で、2005/06シーズンに2.4百万ユーロ(4億円)、翌2006/07シーズンに6.2百万ユーロ(10億円)の税引後利益を計上している。(表1) スタジアム所有による負荷として確認できるのは、減価償却と、長期負債である。減価償却は2005/06シーズン、4.8百万ユーロ(7.8億円)で、売上の7.6%だった。翌2006/07シーズンは、5.1百万ユーロ(8.3億円)で、売上の5.8%だった。(表1) 長期負債の大半は、スタジアム修繕費用と推測される。2005/06シーズン末で52.9百万ユーロ(85.3億円)、翌2006/07シーズン末で49.0百万ユーロ(79.1億円)を計上している。(表2) 6 経営の特徴など クラブの売上高は、UEFAチャンピオンズリーグでの成績の影響を強く受ける。PSVは2006/07年の同大会で、ベスト8ま 4 企業グループの構成は不明。また詳細なBS/PLを、巻末に掲載した で進んだ。また同年、ライバルのアヤックスが予選3次ラウンドで敗退し、PSVがオランダ唯一の参加クラブとなったことも、好要因となった。UEFAからの放送権料は、国別に支払われ、これをオランダからの出場クラブ間で分け合うので、この年はPSVが20百万ユーロ(32.3億円)を独占できた。 なおオランダリーグ(エールディビジ)の放送権は、クラブが共同で保有し販売し、分配している。リーグ一括管理でない。5 クラブはスタジアムを活用してサッカー以外の事業も手がけているが、その業績は、サッカーの人気や成績に大きく影響されるという。 支出面の特徴は、売上高に対する選手人件費比率が低いこと。2006/07シーズンは36.9百万ユーロ(59.6億円)で、42%だった。事業複合化の影響と思われる。(表3) 5 1990年代、オランダ協会が契約した放送会社が倒産した。その後リーグ一括販売としたが、約束した販売額に到らず、システムが破綻した

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