欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査2008報告書
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18 施設管理スキームの推移 2006年6月、ACL社は100%子会社としてACL(2006)社を創設した。同時にACL社は、市から借り入れていた21百万ポンドを、ACL(2006)社を通じて返済した。またそれまでNC再開発公社からACL社に賃貸されていたリコー・アリーナが、市からACL(2006)社に賃貸される構図となった。この変更がACL社の経営にどんな影響を与えるかは不明。 この期からACL社の支払利息が急に大きくなっているが、21百万ポンドを市から市中銀行へと借り換えたことが響いていると推測される。 図21:2006年6月2日以降のスキーム 50%コベントリー市NCホールディング公社NC再開発公社ACL社HIGGS チャリティ50%100%100%①アリーナを50年間貸し出し②21百万ポンドを返済ACL(2006)社100% リコー・アリーナ関連事業に、投資会社のシス社が関心を寄せている。我々の調査の席にも、シス社の社員2名が同席していた。 シス社は2008年2月に、コベントリー・シティFCの株式90%を取得済み。ACL社の決算報告書は、「クラブの財務が安定し」「経営危機が解消し」「エキサイティングな時代がはじまる」と、手放しで歓迎している。 さらにACL社のCooper氏によると、シス社はヒッグスチャリティの持つACL社株式の購入を検討しているとのこと。 図22:シス社が検討しているスキーム 50%コベントリー市NCホールディング公社NC再開発公社ACL社SISU社(投資ファンド)50%100%100%ACL(2006)社100%コベントリー・シティFC90%(店子)(検討中) 19 リコー・アリーナ建設経緯~コベントリー市によるリポートの参考訳 [出典] 『Foleshill Gasworks Site – Arena Developments: Output and Outcomes』Myles Mackie, February 2007。(コベントリー市のResearch and Strategy Research Paper 52として発行されたもの) [背景] Foleshillのガス工場は、土壌が汚染されたまま30年間にわたって放置されていた。この間、多くの利用計画が提案されたが、実現しなかった。土地取得と土壌修復に高い費用がかかるため、包括的で価値の高い開発が必要だった。 市は1990年代、ガス工場跡地に新スタジアムを建設したいと願うコベントリー・シティFCをサポートして、開発事業の中心となることを決めた。 CASE 4; RICOH Arena, (Coventry, England), ver.5 p.15 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved

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