それ以外の340日も営業できる施設でありたい。という順番で考えた。アリーナはスペースを売るビジネスで、そのために柔軟性がキーワードになる」と言う。 その収入内訳は、下表の通り。 表4:ACL社2008年5月期見込み売上の内訳 CASE 4; RICOH Arena, (Coventry, England), ver.5 p.9 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved サッカー (主にコベントリー・シティFCから)21%テナント(貸しオフィス、カジノ) 30%スポンサー収入(ネーミングライツ)18%カンファレンス、展示会、ホテル 21%その他 (コンサート、イベント、駐車場) 10% これのうちサッカー、テナント、スポンサーによる収入は、複数年にわたって保証されているものと推測される。ACL社にとって安定要因であり、同時に短期に大幅な増収を望めない分野と思われる。 7 サッカー興行のスキーム コベントリー・シティFCは、年25日程度、スタジアムを借用する立場だ。 試合における、チケット売上はクラブの、観客向けの飲食売上はACL社の管轄となる。またホスピタリティ収入は、両社で分け合う。従ってACL社は、飲食売上の向上に熱心だ。 Gidney氏によると、リコー・アリーナの観客は試合時、チケット代と別に2~5ポンド(400~1,000円)使うという。今後さらに増やすために、キャッシュレス決済システムを検討している。売店での支払いをカードにできれば、一人40秒かかっている接客時間を20秒に短縮できる。また高性能ビールサーバーを導入して、1杯3秒で注ぐことも検討している。 他方Gidney氏はクラブとの協力の難しさも話してくれた。いまクラブは2部にいて、32,500の収容数に対して、平均18,000人しか集客できない。そこでACL社としては無料招待客を呼び込んで、飲食収入を上げたい。しかしこの施策はクラブの収入増に貢献しないので、実現しない。 「クラブとスタジアム(ACL社)が利害を一致させないと、収入を最大化できない」と、Gidney氏は語る。 8 テナント(貸しオフィス、カジノ) ACL社は、リコー・アリーナ内にオフィスを構える3社を、パートナーと呼んで大事にしている。 貸しオフィスのテナント ・ RICOH Global Service ・ Yorkshire Bank ・ Coventry City Football Club 展示場 ・ RICOH カジノ、フィットネスクラブ、ツーリスト・インフォメーション・センター等も、入居している。収益性の高いテナント、とくにカジノとの契約形態は興味深いテーマだが、残念ながら今回調査で知ることはできなかった。 図7:カジノ(施設の公式HPより) 図8:フィットネスクラブ
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