スタジアム建設 1 再開発計画 コベントリー市の中心部から北方へ約7km離れたFoleshill地区に、操業停止したガス工場の跡地35haが、汚染された状態で30年もの間、放置されていた。多くの開発計画が企図されたが、土地取得と土壌復旧費用の壁に阻まれ、実現しなかった。 1980年代以降、市の主要産業は製造業からサービス業に変わり、失業率も劇的に改善していた。その中で北部地域だけは回復が遅れ、失業率が高止まりしていた。 市の担当者は、Foleshill地区のガス工場跡地の再開発が、北部地域の活性化の切り札になると考えていた。 図 1:コベントリー市の経済動向 *現地調査で入手した資料『RICOH ARENA』(Feb. 2007, McGigan & Butterworth)のデータから作成 コベントリー市の経済動向00.10.20.30.40.50.60.70.80.91970年代初頭1980年代初頭1990年代初頭2000年代初頭産業比率00.050.10.150.20.25失業率製造業サービス業失業率 コベントリー・シティFCは、市の中心部にあるホームスタジアムを、郊外に移転させる計画を練っていた。クラブが100年近く本拠地としていたハイフィールド・ロードは、あまりにも住宅街に近接しすぎていた。またプレミアリーグ全体に、郊外の新スタジアムへ移転する流れがあった。 クラブは1996年、Foleshillのガス工場跡地に新スタジアムを建設する計画を発表した。ドーム型で、スライド式の屋根とピッチを備える、45,000人規模の計画だった。 これを受け市もクラブをサポートして、再開発計画の中心となることを決めた。 しかしクラブは2000/01シーズンを最後にチャンピオンシップ(2部)に降格する。併せて財務も悪化し、60百万ポンド(124.3億円)の負債があると報じられた。 クラブは再開発計画からの撤退を検討したが、市が押しとどめた。スタジアムの規模は32,500席に縮小され、代わりに展示ホールやバンケットが充実することになった。 計画は市の主導で推進され2001年頃、スタジアム(ホールやバンケットが充実)、ショッピングセンター、およびカジノとホテルを建設するマスタープランが策定された。 CASE 4; RICOH Arena, (Coventry, England), ver.5 p.3 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved
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