CASE 3; Amsterdam Arena, (Netherlands), ver.5 p.10 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved 対応している。 図 9:ピッチ脇のファン 図 10:晴れた日も、陽が当たるのは一部だけ フィテッセ13のように、ピッチがスライドしながらドームを出入りする方式であれば、芝生を養生しやすい。「アレナ」でも一時検討されたが、ピッチ面が地上から9mの高さにあることから、結局断念した。 代わりに導入されたのが、PAT (Prescription Athletic Turf)システム。これは芝生を集中的に使うことを想定した技術で、アメリカで開発され、多くのスポーツシーンに普及していた。土中にパイプやセンサーがあって、コンピューターが芝生の温度や水分を制御する。大きなイベントでは芝生に処理を施して、テラプラスで覆うので、5日程度ならばダメージがないという触れ込みだった。 しかし結果は不調。「アレナ」の芝生生育が悪いのが誰の責任なのか、一時たいへ 13 オランダのアーヘン市をホームとする、サッカークラブ。本拠地のヘルレドームは、1998年竣工 んな論争になった。 9 今後の運営 「アレナ」は今後、施設を追加して、ビジネスの機会を増やしたいと考えている。オランダは土地利用や施設建設における行政当局の規制が厳しい。そのために「アレナ」の拡張計画が、たとえば雇用創出に貢献するなど、市の施策とマッチしていなくてはならない。 周辺地域が、市の再開発事業の対象になっていることは、「アレナ」にとっても追い風と言えるだろう。 スタジアムは、都市開発の触媒 10 新都心「アレナ・ブルーバード」 「アレナ」の建設地に選ばれたZuidoostは、アムステルダムに15ある行政区のひとつ。環状高速道路(A10)のやや外側で、市の中心部から6km程度離れた「郊外」に位置する。区の人口86,000人のうち、オランダ生まれは30%に過ぎず、スリナム出身者が23%、アフリカ出身が6%。およそ130の国籍の人たちが混在する地域として知られている。 2008年現在、「アレナ」と中心とする一帯は、「アレナ・ブルーバード」と呼ばれ、オランダにおける新たなシティ・センターと目されている。アムステルダム市は、民間資本を誘致しながら「アレナ」の隣接地区に、多目的センター、コンサートホール、ミュージカルシアター、ホテル、商業施設などを、整備してきた。
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