CASE 3; Amsterdam Arena, (Netherlands), ver.5 p.4 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved 3 公民連携(PPP)方式 スタジアムを建設し、所有する法人として、スタジアム・アムステルダムNV社 ( Stadion Amsterdam NV。以下、NV社という)が設立された。同社への出資者は、市が48%、クラブが13%、民間資本39%。資本金69百万ユーロ(111.3億円)は、建設費として使用された。これは総建設費用127百万ユーロ(204.9億円)の54%にあたる。 表 2:「アレナ」の建設費用調達 項目 m€ 億円 比率 市 33 53.2 26%アヤックス 9 14.5 7%資本金民間資本 27 43.6 21%創設者資本 20 32.3 16%国の補助金 5 8.1 4%借入金 33 53.2 26%合計 127 204.9 1993年11月の着工後も資金調達は続き、銀行団との間でシンジケート・ローン契約(返済期間は17年)を締結したのは、1995年7月だった。 アレナの公式ホームページは、「アムステルダム・アレナの建設は、価値ある公民連携(PPP:Public Private Partnership)の好事例」としている。 市は、土地の価値を高めるため、スタジアム建設に投資した。同時に周辺開発計画を示して、建設資金調達に寄与した。 クラブは、コア事業であるサッカーに集中することになった。NV社に出資するものの、スタジアムの運営業務には関与せず、いわばテナントに徹している。 4 株式と、座席権利の連動 「アレナ」の建設資金調達では、二つの特徴ある手法がとられた。一つはスタジアム・アムステルダムNV社の株式(certificates) 募集に際し、座席や駐車場権利をリンクさせたこと。もう一つは、創設者資本(founder capital)の存在である。 NV社の株式(certificates)には6つの種類(A, B, B2, C, D, E) があり、株主は、「アレナ」で開催されるイベントにおける座席の権利を獲得する。イベントには、アヤックスの公式戦も含まれる。但し株主に保証されるのは権利だけで、実際に試合やイベントを観戦するには、別途チケットを購入する必要がある。NV社の株主は、利益獲得を第一目的とする一般的な株式投資と異なり、座席の権利確保を第一目的とする者が多いという。詳細は下表に示す。 表 3:NV社の株式と、座席の権利 株式 価値 (1991/4/22時点) 権利 シーズンチケット (2005/06シーズン) A種 113,445.05ユーロ(1,830万円) スカイボックス(10人) 駐車場5台分 70,770ユーロ(1,142万円)1スカイボックス、全ホーム試合B種 6,806.70ユーロ (130万円) ビジネスシート1席 駐車場1台分 3,568ユーロ(57.6万円)1座席、全ホーム試合、VAT込B2種 6,806.70ユーロ (130万円) (1998/1月時点) ビジネスシート1席 P2駐車場1台分の購入権3,568ユーロ(57.6万円)1座席、全ホーム試合、VAT込C種 3,630.24ユーロ (58.6万円) バック側のトリビューン1席 320.80ユーロ(5.2万円)1座席、リーグ戦のみ、VAT込D種 2,772.68ユーロ (44.7万円) 1席(場所はeen plaats in een zijvak) 258.4ユーロ(4.2万円)1座席、リーグ戦のみ、VAT込E種 1,134.45ユーロ (18.3万円) ゴール裏トリビューン1席 144ユーロ(2.3万円)1座席、リーグ戦のみ、VAT込
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