欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査2008報告書
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2 スタジアム建設コスト スタジアムはまず本体が施工され、その後ビジネスプランを練った上で、ホテルと貸しオフィスが追加された。これらの建設コストの総額は50百ポンド(103.6億円)。 内訳は、スタジアム35百万ポンド(72.5億円)、貸しオフィス5百万ポンド(10.4億円)、ホテル10百万ポンド(20.7億円) 8であった。 表 1:建設コスト(単位は百万ポンド) 費目 金額 備考 スタジアム 35 周辺整備を含む貸しオフィス 5 北スタンド内 ホテル 10 南スタンド内 合計 50 CASE 2; Reebok Stadium, (Bolton, England), ver.5 p.4 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved 3 建設資金の調達 クラブを100%所有するバーンデン・レジャー社が、スタジアム建設の主体となった。建設資金は、銀行借入25百万ポンド(51.8億円)、オーナーのDavies氏からの借入15百万ポンド(31.1億円)、および公共セクターからの補助金9百万ポンド(18.6億円)等でまかなった。 表 2:資金調達 (単位は百万ポンド) 出資先 金額 比率 銀行から借入 25 51%オーナーから借入 15 31%公共セクター 9 18%合計 49 クラブのチーフ・エクゼクティブ(CE) Duckworth氏は、オーナーからの借入について、「Davies氏は、バーンデン・レジャー社の95%を、所有している。ボルトン・ワンダラーズは非上場で、実質的に個人所有のクラブ。公開会社ならば増資によって資金調達する場面で、オーナーから借り入 8 決算報告書には、スタジアム41.5百万ポンド、ホテル8.9百万ポンドとある。 れるかたちとなる」と説明した。 公共セクターからの補助金のうち8.5百万ポンド(17.6億円)は、Football Trust9や州の拠出。残り50万ポンド(1億円)は、EUから。スタジアム内に貸しオフィスを設けたことで、雇用創出に貢献すると評価された。 4 ボルトン市は、土地を提供 市がスタジアム建設のためにキャッシュを提供することは、法的に禁止されていた。そこで適地を探し、提供することで、クラブに協力した。 当地は炭泥湿地ながら、鉄道と高速道路が通っていた。駅はなかったので、今回開発の一環として、設置された。費用1.2百万ポンド(2.5億円)は、クラブとオービット社が拠出した。 スタジアム用地は250年契約のヘッドリースでクラブに貸し出されているが、リース料は無料である。 図 4:Horwich Park駅からスタジアムを望む 左手にボルトン・アリーナが見える。 ボルトンの中心から、2駅離れている。 9 FAが設置したスタジアム改築のための基金。1975年発足。財源はサッカーくじ。1990年、テイラー・レポートを受け各クラブが新基準を満たす改築、移転ができるよう、イギリス政府がサッカーくじによる税収の2.5%を基金に回すことを表明(2000年まで継続)

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