9 ケータリングと駐車場 マネジメント社が51%を出資し、専門業者と合弁で、ケータリング会社を設立。スタジアムに18あるキオスクを管理し、試合以外のイベントにもフード、ドリンクを提供している。「これは、効率と品質を追求する上で、いいシステム」と、ブレーマー氏は言う。 サッカー試合のときは、運営会社がケータリング社に業務を委託し、ケータリング社は運営会社に飲食売上の一部(観客数×1ユーロなど)を支払う。運営会社側の売上は、年40万ユーロ(6.4千万円)にのぼる。 1日2,000食を提供する能力がある。1食あたりのコストを他社の約3~4倍かけて、良質な食事を提供している。 スタジアムの駐車場はセキュリティ会社が管理している。1台3ユーロの駐車料金は、セキュリティ会社40%、クラブ60%で配分する。 10 施設運営に係わる諸経費 表 1:諸経費一覧 電気代 25万ユーロ/年ヒーティング 16~18万ユーロ/年清掃 15万ユーロ/年セキュリティ 35万ユーロ/年水道代 3万ユーロ/年芝生管理 8~10万ユーロ/年 CASE 1; MSV-Arena, (Duisburg, Germany); ver.7 p.8 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved ヒーティングは、地域のガス式熱供給システムを利用。諸室や芝生を暖めるのに利用している。 清掃は、市の関連会社にアウトソースしている。 セキュリティは主に、1試合350人必要な、警備員費用。 芝生管理のうち2万ユーロ(3百万円)が人件費。他施設に比べて、大幅に安い水準。 11 芝生管理 すべての座席が屋根で覆われたMSVアレナだが、屋根の一部を透明にすることで、芝生の育成に必要な日照を確保している。また通風のための開口部、および地下のヒーティングも設備してある。ピッチの使用頻度も高くない。MSVアレナで試合するのはトップチームだけで、年17回程度。ユースチーム以下はトレーニング場で試合し、アレナを使うことはないという。またピッチを使ったコンサートは、開催したことがない。 これらの要因によりMSVアレナではこれまで、シーズン中に芝生を張り替えたことはない。もし張り替える場合、一度で10万ユーロ(1.6千万円)を要する。 それでも芝生管理の担当者は「屋根の影でいつも日陰となる場所の生育が悪い。風も、もっと通るようにした方がいい。お客さんが寒がるって?寒いのには慣れているから、大丈夫」と言う。 また今後は、ピッチを使ったコンサートを開催していく方針とのことで、芝生の保護方法を検討していた。 さらに副審走路と、ゴール裏の選手アップエリアの人工芝化を検討している。 図 8:通風口越しに林が見える
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