CASE 1; MSV-Arena, (Duisburg, Germany); ver.7 p.7 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved にファンショップを常設できたことが大きく寄与している。広告料収入、ホスピタリティ収入も、大幅に伸びた。 スタジアム全体のネーミングライツ・ホルダーは、ユニフォームの胸スポンサーと並ぶ存在となるので、慎重に選定している。5年以上の長期契約で、年2~3百万ユーロ(3.2~4.8億円)を条件に、セールスしている。 一方、4つのスタンド、および4つのコーナー、計8カ所のネーミングライツは完売しており、合計で年4百万ユーロ(6.5億円)の収入を得ている。これらの権利は、ビジネスラウンジ利用権などと、パッケージになっている。 7 マネジメント社 マネジメント社は、展示会など、サッカー以外のイベントを運営する。FIFAワールドカップ2006TMで、MSVアレナを拠点としたイタリア代表チーム13の受け入れ業務も担当した。 同社の年間収入は20~40万ユーロ(3.2~6.4千万円)で、黒字経営。スタジアムの賃借料は、運営会社から同社を経由してプロジェクト社に支払われている。 同社の売上規模はスタジアム運営収入の1%にも満たないので、運営会社の1セクションとした方が、経営、税務の両面から見て、有利という。それでも同社を独立させているのは、ブンデスリーガのクラブライセンス規定に適合させるため。規定は、運営会社がサッカー以外の事業収支を計上することを禁止している。 クラブは次善の策として、賃借料を運営会社から直接プロジェクト社に支払う手法を検討している。 図 6:4つのスタンドと4つのコーナー 8 運営会社 運営会社はクラブのトップチームを運営し、チームがMSVアレナで行う試合を取り仕切る。関連会社の中でも最大、かつ中核的存在である。 資本金は4.5百万ユーロ(7.3億円)。その88%をクラブが、12%をヘルミッヒ社が所有する。年間売上は42百万ユーロ(67.7億円)で、ブンデスリーガの中位に位置する。黒字基調で運営されている。 新スタジアム効果14で、旧スタジアムでは1部にいる時も、13,000人止まりだった平均観客数が、25,000人を超えた。またグッズ収入が6倍程度に増えた。スタジアム 13 大会でのイタリア代表の優勝を、MSVアレナの関係者も誇りとしていた 14 スタジアム開業の2005年に、チームは2部から1部に昇格した。相乗効果があったと思われる 図 7:ライツホルダーの露出 なおヘルミッヒ社のマーケティング部門の職員7人が、運営会社に常駐し、スポンサー・セールスなどを支援している。
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