に対し、ドイツのプロサッカーを統括するブンデスリーガは、サッカー会社の株式の過半数をフェラインが所有しなくてはならない、と規制している。このようにして、ドイツのプロサッカークラブは、地域のメンバーシップとしてはじまった伝統を、今日にも引き継いでいる。 こういった経緯からドイツのトップクラブは、フェライン傘下に、サッカーのトップチーム運営会社と、アマチュア・スポーツ部門を併設する形態が増えている。本稿では、フェラインを「クラブ」、トップチーム運営会社を「運営会社」と表記するので、後者を指して「クラブ」と呼ぶ日本の用語とは歴史的背景および意味合いが異なることを、念頭におかれたい。 図 1:クラブ組織の代表例 VereinフェラインNonprofit Organisation•アマチュアスポーツBusinesscompany•サッカーのトップチーム•サッカーのタレントセンター•その他プロスポーツ•アマチュアスポーツ•地域貢献活動Businesscompany•サッカーのトップチーム•サッカーの育成■ドイツのサッカークラブ(例)■日本のサッカークラブ(例)「クラブ」と表記「運営会社」と表記「クラブ」と呼ばれる 要約 1 民間主導の事業 MSVアレナは、クラブが主体的に建設し、管理している事例。大手建設会社ヘルミッヒが、クラブ経営に深く関与していることで、このような民間主導が可能になったと思われる。 但し公共セクターの貢献も小さくない。市は7.5百万ユーロ(12.1億円)の補助金を拠出し、さらに土地を実質無償で貸与している。また州は、スタジアム建設時にクラブが負った30百万ユーロ(48.4億円)の債務の、80%を保証している。 MSVアレナは、今回調査した6事例の中では、サッカー以外の事業のための付帯設備が、少ない部類に属する。試合日のホスピタリティ施設となるビジネスラウンジ等を使った展示会、研修会、パーティなどが主である。 従ってサッカー事業の売上42百万ユーロ(67.7億円)に対し、それ以外の売上は0.2~0.4百万ユーロ(3~6千万円)と、小さい。 図 2:MSVアレナ CASE 1; MSV-Arena, (Duisburg, Germany); ver.7 p.3 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved
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