欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査2008報告書
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う」と、同氏は述べている。 公式の発表や意見表明に加えて、2番目に重要な観点となるのは、協会内部の協力関係である。「接点も多いが、摩擦が生じる部分も多いため、意思疎通を図る必要がある」と、ヨアヒム・E・トーマス氏は説明している。スタジアム経営者たちにとっては、年に4回開かれる会合で、目的に合わせて経験やノウハウの情報を交換し、知識移転に努めることが重要である。トーマス氏は、「われわれが率直な態度で交流すれば、互いに、多くのことを学べる」ということを確信しているのである。「サッカーの試合運営、チケット販売、ケータリング、支払い方法、会場整理やエネルギー利用に関して、経験を互いに教え合えば、多くの成果が上がることは当然だ。さらに、中期的には、地域レベルで、共同で仕入れを行なう購買共同体を結成することも検討可能だ」と、同氏は述べている。「ボルシア・ドルトムント(BVB)、シャルケ、ボーフムがそれぞれ試合を行なう3つのスタジアムで、共同で会場整理業務を行なってはいけない理由などあるだろうか?」と、Dr. ホッケンヨス氏は疑問を投げかけている。「そうすれば費用も節約できるのだから、検討の余地はある」と同氏は述べている。 当然のことではあるが、すでに、意見交換の大きな成果が表れている。たとえば、夏の間、ドルトムントでは、「スタジアムで映画鑑賞」というイベントが初めて開催された。このイベントは大変な人気を博し、成功裏に終わったものの、新たな試みにつきものの失敗も多かった。「このアイデアを引き継いだ、他のスタジアム経営者たちは、このような失敗を繰り返してはならない」と、Dr. ホッケンヨス氏は述べている。そして、トーマス会長は、「われわれはみな、究極的には、ひとつの目標を共有している。それは、すばらしいイベントを開催することによって、機能的ですばらしいスタジアムを作り上げるということである」と語っている。 Arena-Union p. 3

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