欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査2008報告書
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ップの試合が開催されたベルリン、ドルトムント、フランクフルト、ゲルゼンキルヒェン、ハンブルク、ハノーファー、カイザースラウテルン、ケルン、ライプツィヒ、ミュンヘン、ニュルンベルク、シュトゥットガルトの12のスタジアムの代表者が意見交換を行なっていたが、やがて、他のスタジアムの経営者も、次第にこの部会に合流するようになった。 ワールドカップの成功後、上記のふたつの作業部会は合併し、年頭の会合で、「結びつきが緩やかな利益団体に、公的な枠組みを与え、この団体を法人化する」という構想が生まれたということを、フランクフルト・スタジアム管理有限会社のヨアヒム・E・トーマス氏(ドイツ・スタジアム経営者協会会長)は語っている。ブンデスリーガ1部もしくはブンデスリーガ2部に所属しているか、または、少なくとも35,000人の収容能力を備えているため、国際試合を開催できる適格性を有するスタジアムを経営していることが、協会加盟の条件となる。「協会が大きくなり過ぎないように意識する必要がある。なぜなら、参加者が多すぎると、プロセスが停滞することがよくあるからだ」と、Dr. クリスチアン・ホッケンヨス氏は語っている。そのため、ブンデスリーガに属する35のスタジアムと、ライプツィヒのセントラルスタジアム、デュッセルドルフのLTUアリーナ、ミュンヘンのオリンピックスタジアムが、現在、参加を認めるか否かという検討の対象となっている。協会の会員数は、すでに30に達しているが、ブンデスリーガ1部に属する18のスタジアムはすべて、この中に含まれている。 協会の、変化に富んだ構造と多様性は、理事会にも反映されている。すなわち、会長のヨアヒム・E・トーマス氏は、民間の経営会社が運営するフランクフルトのコメルツバンク・アリーナで仕事に従事している。会長代理のDr. クリスチアン・ホッケンヨス氏は、ドルトムントのサッカークラブが所有する、80,000人を超える収容能力を持つ巨大なスタジアムを所管している。同氏に次ぐ、第2番目の会長代理であるビヨルン・ブレーマー氏は、1部に昇格したMSVデュースブルクのホームスタジアムであり、31,500人を収容できる、小規模だが洗練されたMSVアリーナの経営責任者である。理事会の顧問はペーター・フォン・レベッケ氏である。同氏が属するベルリン・オリンピックスタジアムは、民間企業によって運営されているが、所有者はベルリン州である。 ドイツ・スタジアム経営者協会では、協会設立によって、いくつもの良い効果が生じることを期待している。「外部に対しては、公の場で権利を主張することが大事だ」と、Dr. ホッケンヨス氏は説明する。「われわれは、自分たちの立場を、より有利なものにすることが可能であり、また、政治的な案件では、より明確に自己主張し、声をひとつにして意見を述べ、配慮を受けることができるようになる。そのため、今後は、ドイツサッカーリーグ有限会社(DFL)、ドイツサッカー連盟(DFB)、ヨーロッパサッカー連盟(UEFA)、あるいはまた、コンサート主催者との意見交換も容易になる。われわれの協会は、さらに、2010年のワールドカップや、2012年のUEFA欧州選手権に備えて、ドイツのスタジアムのノウハウを知りたい南アフリカ、ポーランド、ウクライナの代表者たちの相談窓口となるだろ Arena-Union p. 2

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