Arup Sport; ver.3 p.10 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved 新しく進められている施設の名称は「シンガポール・スポーツ・ハブ(SSC)21」。2007年12月にコンペが行われ、アラップを含むコンソーシアムが選ばれた。2011年中ごろの完成を目指している。 建設される主な施設は表3の通りである。マリーナ湾に面した場所に設置されることから、同湾内で行われるマリンスポーツのための施設が作られていることも特徴である。なお、同地には1989年完成のシンガポール・インドア・スタジアム(12,000人収容)があり、この施設もSSCの施設の一つとなる。ナショナル・スタジアムについては、2007年6月に閉鎖された旧ナショナル・スタジアムを解体後、同地に建設される計画である。 総事業規模は、実に6億5000万~8億シンガポールドルとのこと(日本円で約500~620億円)。PPPの事例としては世界最大級である22。 シンガポール政府によるエリートアスリート育成・強化のための施設となるほか、アジア大会などの国内外の主要なスポーツイベントを誘致し、利活用を図っていく計画となっている。公共施設として、一般市民の開放にも取り組む。 Parrish氏は「シンガポールの文化を変えたい。この施設は、シンガポールの中心部に近いところに作られる。スポーツを楽しみたい市民が気軽に訪れることができるように、また、ショッピングや娯楽目的の施設が出来ることからも、この施設を身近に感じてもらえるようにしたい。また、そのことをきっかけにして、スポーツへの関心、取り組む機会を増やせるようにしたい。」と、このプロジェクトに強い意欲を示している。 このプロジェクトで検討しているアイデアとして、「シンガポールはとても暑い国。なので、涼しい空気が循環する仕組みが必要だ。屋根を締めたときでも冷たい空気が流せるよう工夫を凝らしている。また、例えば観客の少ないイベントなどで、上段の方が誰も座っていないのであれば、その部分には冷たい空気を入れないようにして、効率化を図る方法を考えている。」と語ってくれた。 施設 規模 備考 ナショナル・スタジアム 55,000席開閉式屋根 水泳場 6,000席国際大会基準 多目的アリーナ 3,000席大会規模などに応じてサイズ変更可能商業施設 41,000㎡小売、娯楽施設など マリンスポーツセンター マリーナ湾内で行われるスポーツ 表 3 SSCに新設される主な施設 以上 (文責:藏本匡史) 21 出典:シンガポール・スポーツ・カウンシル。http://www.ssc.gov.sg/ 22 出典:シンガポール・スポーツ・カウンシル。
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