欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査2008報告書
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コンサートの頻度を上げている。ヒポ・グループ・アレナはユーロ2008後、人工芝ピッチを導入するが、トップリーグのサッカー試合で人工芝ピッチを認めている国は、まだ少ない。 スタジアムの稼働率をあげるためには、中小規模のコンサートやイベントの開催も必要だ。大きな部屋を持つスタジアムでは、そこで屋内コンサートを実施している。アムステルダム・アレナは、スタジアムの様々な設備を活用することで、イベントの規模に最適な演出を可能にしている。ゴール裏スタンドとゴールラインまでの空間にも、間仕切りや、せり上がりなどの工夫が施されている。 9.3 ホテルを併設 イングランドの2施設、リーボック・スタジアムとリコー・アリーナは、スタジアムの一部を利用してホテルを営業している。VIP接遇用の諸室、設備が、そのままホテルのケータリング設備になるという発想だ。試合日以外に大規模な研修会やカンファレンスを開く場合、宿泊施設とセットで販売できることがメリットになる。一部の客室は、ピッチに面していることが売りで、このような部屋は試合日にはビジネスボックスとして、販売される。 イングランドでは別に訪問したシェフィールドのブラモールレーンでも、スタジアム敷地の一部にホテルを建設している最中だった。ドイツのいくつかのスタジアムもまた、将来の事業拡張として、ホテルの併設を検討している。 図 9:ホテルのロビー (リーボック・スタジアム) なおリコー・アリーナのコベントリー・シティFCと、ブラモールレーンのシェフィールド・ユナイテッドは、いずれも2部リーグに所属している。 図 10:ピッチが見える客室 (リコー・アリーナ) 9.4 ネーミングライツ ネーミングライツは、施設全体のライツはもちろんのこと、スタンド毎のライツや、ラウンジなど設備毎のライツなど、様々に工夫して多くのスポンサーに販売している。 MSVアレナは、4つのスタンドと、4つのコーナーを分割して、8社のスポンサーを獲得している。さらにラウンジのライツを、別の企業に販売している。スタジアム全体のライツは、施設のイメージにとって重要なので、むしろ慎重に選定しているという。 公的セクターが管理するヒポ・グループ・アレナでは、ネーミングライツ権をクラブに譲渡していた。スタジアム名称をメディアに露出せしめ、一定の広告効果を得 欧州におけるサッカースタジアムの事業構造調査Ver. 9 p. 9 Copyright ©Japan Professional Football League / Research Institute for Sport Business, Waseda UNIV 2008, All Rights Reserved

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