Ⅴ.参加者の所感(抜粋) Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) 66 自分のチームを支えているという意識が非常に強く、クラブとサポーターとのあり方の原点、理想を感じることができた。イベントや特典の増加などの施策によって一時的に観客は増えるかも知れないが、「自分たちがいなければ」という思いの人たちをいかに増やし、継続させていくのかを検討しなければ一過性のものになってしまう。特典なのか、招待活動なのか、イベントなのか、広報活動や社会貢献活動なのか。クラブや地域によって異なり、すぐに効果の出る施策はないが、数年後のあるべき姿を思い浮かべ、それに向けての種蒔きを行うことが必要であると感じた。 ◆どのクラブにも共通して言えるのが、低年齢層への働きかけを重視し、積極的におこなっていること。物心がついたときから何らかの形でクラブに関わる状況をつくっているある種「刷り込み」のような活動。ただ、クラブの一方的な押しつけではなく住民のニーズに応えたものになっているからこそ、行政や企業が賛同し地域が一体となってクラブを応援するのであろう。 ◆育成機関が充実していることで、子どもの頃からそのクラブへの所属意識も高まるし、その下部組織出身の選手が活躍するトップチームの試合には、自然と応援するためにスタジアムへと足を運ぶようになる。「地域貢献活動」や「スクール事業」の中で、低年齢層をクラブの活動にどのように取り込み、子どもたちがいかにチームを好きになってくれるかということを意識しながら、もっと強化する必要があると思った。 ◆最終日に開かれたマーケティング講座で、5年、10年先の戦略構想を持つこと、アマチュアサッカー人口の底辺拡大、これまでの実績にとらわれない新しい試みなどの重要性の話は、当たり前に感じると同時に再認識させられた。どの国、どのクラブにおいても歴史を尊重し、その地域にしっかりと文化として根づいている印象を受けた。100年の歴史、その地域に愛されるクラブ経営、大変感慨深い研修であった。 ◆自分の頭の中にあった企画の進行方法が整理でき、スタジアム運営、演出、ホームタウン活動、競技場のハード面の改善ポイント、グッズ開発などに応用できるポイントはクリアになった。またこれらを活用するためには、クラブスタッフに自分が見てきたこと、感じたことを伝え、一人の知識として留まらせず、大きな力として活用できるようになってこそ視察の価値があると感じている。 ◆テクニック的なことではなく「骨太さ」や「奥深さ」を、視察を通じて感じることができたのが、何よりの成果であった。 ◆「歴史と文化の差」という言葉に片づけられそうだが、クラブグッズがベビー用品からある意義やクラブスタッフの施設説明やクラブ説明で自分のクラブのアイデンティティーに対して誇りを持っていることが非常に強く感じられた。 ◆クラブが長く愛され生き残っていくためには、「サッカーが好きな子供」「そのクラブに愛着がある子供」の育成が、時間がかかるように見えて実は一番の近道なのだということを再確認。また他のどこでもなく「クラブのある場所」の人々に愛されようとする努力はクラブ運営の基本。今後アカデミー・地域社会活動などに一層力を注ぎたい。 ◆たくさんのJクラブの方と知り合え、情報交換ができた。本論である欧州サッカー視察については、あまりにもJリーグとの格差を感じ参考になる点は少なかったが、「Jリーグ百年構想」の観点からみれば、この視察は大変有意義であった。ヨーロッパには、Jリーグの目指す最終形があった。①自前のスタジアム、②自治体からの支援
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