Ⅴ.参加者の所感(抜粋) Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) 65 ◆日本サッカーの現状をしっかりと見極め、階段を飛ばして昇らぬよう今行うべきこと、種蒔きをするべきことを考えたい。そのヒントが『欧州で発見した共通点』だったと確信する。社会貢献やコミュティー形成の手段を日本社会に適合した方法で積み重ね、その結果、100年後の日本に『サッカーの社会現象』が現れ、Jクラブが社会的に高く認められる存在になるよう現在に種を蒔いていきたい。 ◆選手育成・地域貢献を真の目標として、地域やサポーターに受け入れられることができれば、成績に左右されずにクラブ経営も安定し、クラブ価値も高まる。チーム成績はクラブ経営では大切な要因ではあるが、地域に愛され、地域で育った選手をプレーさせることができるクラブはとても魅力的。 ◆市内のサッカークラブを管理下に置き、各カテゴリーから競争させる。これらの地元クラブは、プロクラブからの助成金で成り立っているおり、地元で良い選手がプロクラブに自動的に昇格するシステムが確立している。逆に、世界から選りすぐった選手を育てて売り、移籍金でクラブ経営を安定させるクラブもある。ただ、最後は自分が育ったクラブに戻って活躍する選手が多く、それがさらに地元ファンを釘付けにしている。どの国であっても集客には、地元で育った選手が我がクラブで活躍することが重要。また、最近では「女子チーム」を充実させ、新たなファン拡大(ファミリー層)も図っていることは今後のクラブでも戦略に検討したい。 ◆イレブンミリオン本来の目的では直接的にほとんど参考にならなかったが、体感したもの、他のクラブの方やJリーグの事務局の方と分野や年齢を超えて交流できたことは、今後の自分の財産となるし、クラブに還元していかないといけないと強く感じた。 ◆訪問したクラブの方々全てが努力していたとは思えないが、各々その歴史や自分たちが持つ優位な点をうまく使いこなしているという点は見習わなければならないと思うし、自クラブにおいても、良く再検証し、実行していかなければならないと強く感じた。 ◆本場のサッカー・原点に触れたこと、最先端のスタジアムを見聞できたことは非常に大きな経験となった。何事も基礎を知らなければ応用ができないのと同じで、サッカーの本質に触れたり、他クラブの担当とコミュニケーションをとり、情報を共有する仲間ができた今回の視察の意義は大きいと思う。今後は視察から得たヒントを各々が各クラブで工夫、実行していくことが求められる。 ◆すべてを文化が異なる日本にスライドさせることは難しい。ただ、クラブが自分達のできることをしっかり見極め、しっかりとしたビジョンを持って、どのようなゴールを目指すのか?「ミッションステートメント」が重要であり、イレブンミリオンプロジェクトにも通じることと強く感じた ◆初めてプロのサッカー観戦をした時に、サポーターの歌と翻る旗を見て「試合は戦いであり、祭り」と肌で感じた感覚が懐かしく蘇った。人々が熱くなり、心躍る起爆剤がダービーの情景にはすでに漂っていた。 ◆祖父母の世代からの会員である自クラブの栄光と誇り。サッカー文化の根づいていない日本で、集客という必死の課題を背負った我われの質問に、求めたような回答が得られないこともあったが、サッカーの原点と100年後に達した文化とクラブ経営を見聞できたことは非常に重要であり、貴重であった ◆ヨーロッパでのサッカーの位置づけは、教会へ礼拝に行くようなものであり、理屈抜きでスタジアムに足を運んでいるように思えて仕方がなかった。
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