イレブンミリオンプロジェクト欧州視察2008報告書
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Ⅳ.アヤックス Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) 62 ①フェイノールトビジネスクラブ: 企業にシートを購入していただき、サッカーの観戦だけでなく特別なことも行っている。クラブにとってのメインスポンサーは10社位あり年間の金額は決まっているが、ビジネスクラブのメンバーには会社数の上限がないため、ビジネスクラブからの収入はまだまだ増やすことは可能である。このビジネスクラブのメンバーはビジネスシートを購入して特別に料金を追加していただき、チャリティーナイトやセレブリティーナイトなど特別な見返りを提供する。 m en m EVENTS社はクラブのためだけを考えるのではなく、お客様の視点から考え、お客様が何を要求しているかを聞くことにより今まで考えつかなかったアイデアが出てくる。 ビジネスクラブは現在約500社あり、1席3,750ユーロ(60万円)で、1社あたり2席から20席のシートを販売している。現在、合計1,200席を販売しているので約500万ユーロ(8億円)の収入となっている。 ②フェイエノールトコーポレートパッケージ シーズンチケットが高すぎて購入することが難しい場合や、年間全ての試合を観戦できないことがあるお客様向けの商品である。内容は、夕食やホストサービス、お土産が付く商品で、例えばクイズを行い試合の結果や得点者を当て、正解者には選手サイン入りのシャツをプレゼントすることにより、購入したビジネスクラブの従業員の方はもちろん、会社がお客様を連れて来た場合にも大変喜んでいただくことにより、とても良い関係を作ることができている。また、外のレストランで食事をして、船やバスでスタジアムに来るなど単純なものまで内容はさまざまである。 6~7年前までは1パターンのパッケージしかなかったが、お客様の要望により5パターンのパッケージを作ることにより、お客様にとってより良い選択ができるようになった。このようなお客様を数千社持つことにより収入を上げることと、それ以上にずっとファンであり続けてもらうことを重要視している。 シーズンチケットは11試合分であるが、ホームゲームは全部で17試合あり、残りの6試合はファンショップで10%割引にて購入することができる。翌シーズンにシーズンチケットを継続購入すると割引が受けられ、リピーターを増やしている。このように様々な商品を作り選択肢を増やすことにより、購入が厳しい時でもお客様の予算に合わせて別の安価な商品を提案できるようにし、簡単にファンを離さないようにすることをとても大事にしている。 試合毎でも販売するし、年間を通じた数試合をパッケージにすることもあり、その場合は割引も行っている。試合の日程が決まり次第、自由に試合を選択してパッケージをつくっている。1試合(2人以上の)10~500グループで実施されている。 4.今後の具体的なアクション クラブの歴史を今のうちから少しずつ管理、積み上げておくことが必要だと実感した。また、スタジアムを訪れるすべての人(選手、サポーター、スタッフ、アウェイの人までも)がその「クラブのホーム」だと感じられるような工夫・装飾を可能な限り実施したい。 ヨーロッパサッカークラブにおいて、スポーツマーケティングの面での遅れを感じた。やはり、スポーツビジネスの祖はアメリカ。ヨーロッパのクラブはアメリカに学んでいると聞く。 アメリカの中でのマイナースポーツ(マイナーリーグやMLS)の集客・収益戦略・スタジアムイベントなどの施策を学ぶ必要があると強く感じた。 また、オランダでの「ビジネスクラブ」「コーポレートパッケージ」「KIDS CLUB」のパッケージ商品などについて調査研究し、導入を検討する必要がある。

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