イレブンミリオンプロジェクト欧州視察2008報告書
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Ⅲ-4.プレミアリーグ Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) を開催。その後もブラッドフォードでの火災による観客の被害、1989年のシェフィールドで起こったヒルズブラの悲劇などを経て、この基準について改定が重ねられている。これらの要件は今回お配りした規定書に細かく101項目にわたって書かれている。このハンドブックを発行する権限を持っているのはフットボール・ライセンシング・オーソリティという団体。(要件の例:消防に関すること、避難経路、障害者対応、地元警察が使用するコントロールルーム、監視カメラ機器、非常用照明)1989年に事故が起こったため、プレミアとフットボールリーグの2つのリーグで使用するスタジアムは全座席を着席できるものと規定(立見席の廃止)。これが大きな効果を発揮し、以降スタンドでのトラブルが激減した。サポーターからはスタンドが静かすぎるとして一部不評を買った。雰囲気を少し犠牲にはしたが、安全性は飛躍的に向上した。このほかに各クラブがホームスタジアムでの観戦に関してさまざまな規定・判断基準を設けている。試合当日の警備スタッフには各クラブがトレーニングを施すが、ある一定の基準を満たさないとどのクラブでも従事できない。これらのスタッフには観客の入退場がスムースに行われるようにする役割のほかに、常軌を逸した観客を制御することも要求される。ただし、実際に問題を起こした観客を取り押さえ、逮捕するのは別途スタジアム内に配置される警官。配置される警官の人数は試合ごとの重要性、危険度によって異なる。スタジアム内に配置される警官の日当はクラブ持ち。スタジアム外に配置される分はクラブの支払い対象外。 アウェイチームと審判団については過去に何度か事例があり、その度に改善処置が採られてきた。まずチームバスが選手入場口まできちんと乗り付けられること。バスから降りた選手たちがスタジアム施設の入口まで安全に移動できるように警官立会いのバリケードなどがきちんと設置されていること。別の車で入場するアウェイクラブの役員陣や審判等のマッチオフィシャルのための安全なパーキングスペースが確保されていること。降車場所には警官か警備スタッフが配置、施設入口までエスコートされること。ピッチへの入退場についてはトンネル状の囲いでガード、このトンネルに入るまで動線については警備スタッフが前後左右から保護すること。テクニカルエリアの真後ろは選手・スタッフと近くトラブルが起こる可能性があるため、クラブが素性を把握しその言動に責任が持てる人のみに販売する。 (3)収容人数 スタジアムのキャパシティ、各セクションの収容人数の設定についてPLは関与しておらず、安全性の認証を出す機関が規定。最少もしくは最大収容観客人数に関してもPLは規定しない。今シーズンの最少はポーツマスのフラットン・パークで20,338人、最大はマンチェスター・ユナイテッドのオールド・トラフォードで76,155人と相当な開きがある。スタジアムの雰囲気作りにはアウェイのサポーターが不可欠なものとして重要視しており、3,000席分か収容人数が30,000に満たないスタジアムではその1割の座席を割り当てることになっている。アウェイチームの身体障害者のサポーターにもスタジアム全体の身体障害者用観戦スペースの1割が割当てられる。 (4)施設・設備 更衣室には最低30平方メートルの広さを確保。ドーピング検査用の部屋を更衣室のそばに確保。 紙媒体のプレスに対する設備: プレス用シート50席、テレビモニター装備、50平方メートル以上の作業スペース軽食・スナック・ドリンクコーナー テレビ・ラジオ: 世界各国に配信しているため、 51

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