イレブンミリオンプロジェクト欧州視察2008報告書
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Ⅲ-3.チャールトン・アスレティックFC Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) 39 4.試合観戦報告 試合開始ギリギリまでサポーターはスタジアムの外で思い思いに過ごしていた。開始30分前になり、ようやく席が埋まり始める。動線は、ホーム、アウェイサポーターも同一であった。この規模のスタジアムでもスポンサー向けのラグジュアリースペースは存在し、それがステイタスや収益に繋がっていると感じた。 イベントは一切なく、サッカーのゲームだけが唯一のコンテンツであった。試合中も中傷的な野次やブーイングもなく、子供たちもいるせいか、想像していたイングランドのスタジアムより紳士的であった。 試合後もサポーターはスタジアムを早々と後にし、行きつけのバー等で試合後のひと時を楽しむ人が多いように感じた。 5.まとめ チャールトンは、育成とマーケティングでクラブのブランドを維持していると感じた。 特に、クラブスローガンで、「More than Just a football club」(サッカークラブ以上のもの)が示すとおり、単なるサッカーだけの単一クラブではなく、地域に密着し多くの地域活動を実施し、これらの活動すべてを企業価値としてブランド化し収益を獲得している。 現在、27,000人収容のスタジアムを将来40,000人収容に拡張する予定だが、これまで築いてきたサポーターコミュニティーとのエモーショナルな関係と、しっかりした地域戦略、マーケティングプラン、具体的な施策もあり、おそらく集客と収益も安定し40,000人収容も問題ないだろう。 しかし、ひとつ懸念されることはテレビ放映権料に多くを頼っている点で、プレミアリーグに復帰した場合、現在の17,000人のシーズンチケットホルダーは無料となる点である。いくらテレビ放映権料が跳ね上がるとはいえ、無料という決断は理解しがたいものがあった。 いずれにせよ、このチャールトンというクラブのポリシーは「地域密着」であり、この普遍的なポリシーを持ち続け活動している限り大きな過ちは起きないだろうと感じた。 スタジアムで試合も観戦したが、スタジアムの雰囲気もすばらしく、サポーターの応援、マナーも良かった。ハーフタイムには気ぐるみを着たマスコット?も登場し、子供たちにファンサービスをしていた。このようなスタジアムの安全性と快適性が多くのサポーターに受け入れられスタジアムそのものがブランド化していくことを感じた。

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