Ⅲ-2.ウェストハム・ユナイテッドFC Jリーグ イレブンミリオンプロジェクト 欧州視察報告(2008年1月実施) 試合終了後、選手は全く観客に向けて挨拶なく退場していったのには驚いた。また、観客も試合終了5分前から帰り始め、試合終了10分後にはほとんどスタンドに客がいない状況になった。ちなみに当日のウエストハムの試合内容はお世辞にもよかったとは言えず、先制点を取られた後、前半20分頃には早くも帰ってしまう人もいた。 また、2-1というスコアにも関わらず、試合終了5分前からバラバラ帰り始める観客が多数。この日は、ロンドンの地下鉄が一部不通になっているといったこともあったが、スタジアム近くは小さな駅が1つだけという、交通事情が決して良くないということもあるのではないか。 試合終了が17時だったにも関わらず、スタジアム周辺でお酒を呑んだり、食事したりで騒ぐサポーターが少なかったことは意外であった。 最寄り駅まで500m以上の長蛇の列ができていた。その待機列のそばに騎馬隊の馬糞があり、それを踏む人を見ては面白がって歓声を上げていた。これはおそらくお決まりの楽しみ方のような気がする。 9.ウエストハム視察を通しての感想 ロンドンで多数あるチームの中でも、特徴としては育成に力を入れ、なおかつ地元に密着した取り組みにより成功しているクラブに見えた。100年以上の歴史があり、また、リーグ優勝こそないが、スタジアムの規模的にも、あのエリア(地域)を考えると充分な大きさであると思われるが、問題は今後60,000人収容のスタジアムになった時ではないだろうか。特に、目立った大きなプロモーション活動を行っているようには見えなかったし、CRMを生かした展開は、これからのように見受けられた。 正直言って全体的に集客への取り組みは、今のJリーグ各クラブの方が努力しているように感じた。先にも書いたが、安定した集客を確保するには「どういう状況であろうとチームを応援するというコアなお客を、いかにしっかりと増やせるか」、つまり年間シートの固定客を多く確保できるかということがポイントである。そのことにより現在、存在意義自体が問われ始めているファンクラブもビジネスとしての展開が広がることにもなる。 そのためにも、(“ウエストハムを日常で意識させると”いったような)地域と密着した取り組みは見習うべき点として大きかった。 スタジアム周辺の様子 35
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